WELQ問題で考えること。安易な記事乱造と安価な請負業務を改善すべし
ここ数ヶ月ネット界隈を賑わせてきたWELQ問題ですが、記事の公開を一旦停止するということで、一応の決着が付いたようです。
WELQ炎上の背景
▲WELQホームページ。記事の非公開化を伝える内容に。
WELQとは、DeNAが運営する健康関係メディアです。DeNA運営ということは知らなくても、健康に関することを検索するとたいてい上位に来るサイトですから、見たことのある方も多いでしょう。
私のブログはご存知の通りゲーム関係のネタが多いのですが、薄っぺらいまとめ記事、炎上狙いの記事に負けたらやっぱり腹が立ちます。
WELQの場合はそれだけではなく、扱っているネタに命や健康に関わるものが多いというのが大問題なんですよね。そういう記事を医師でも専門家でもない素人ライターが書いているのではないかということで、批判の対象になってきました。
アフィリエイト目的の胡散臭い健康情報サイトは昔からたくさんありますが、WELQの場合は曲がりなりにも大企業のDeNAが運営していることもあり、ある程度の信頼性をもって情報が受け止められがちであったという点も大問題でした。
WELQはすでに指摘されているとおり、コピペ、虚偽情報のオンパレード。素人の書いた文章が、専門家によるチェックもなく世に放たれていたのです。
ちなみに、今回の件をまとめた東洋経済オンラインのこんな記事がありましたが、
ウェルク炎上が暴いた劣悪メディアの仕掛け(東洋経済オンライン)
まず自分の胸に手を当ててと言いたくなるよね。東洋経済の煽りタイトルにはうんざりしていますから。もちろん、この記事を書かれた本田さんの責任ではありませんが。
まあそれはおいといて、ここに書いてある内容はなるほどなと思いました。
GoogleのSEOに限界?
WELQがここまでのさばってしまったのは、GoogleのSEOを徹底的に研究したからです。
ちょっと扱いづらい健康ジャンルを攻めたこと、記事にある程度のボリュームを付けて、Googleに良いコンテンツであると認識されやすいようにしたこと。
このあたりが、多くの方が分析するWELQの強さみたいですね。
Google先生といえどいちいち中身を読んで判断しているわけではありませんから、先ほど挙げた東洋経済の記事のように、Googleが悪であるとまで断言する気はありません。
しかし、こういった薄っぺらいサイトが高評価を得てしまう現在の仕組みに一石を投じたのは間違いないでしょう。少なくとも、専門家の監修があるかどうかを見極めるロボットが必要でしょうね。
非常に難しいことではあると思いますが、Google先生のさらなる学習に期待したいところです。そしてそれまでは、いい加減な情報は人力で糾弾していくしかないのでしょう。
安価なクラウドワーク
WELQが大量の文章をどうやって調達したか。それは、CrowdworksやLancersなどのクラウドワーキングサイトでライターを募集し、記事を書かせていたとされています。
その文字単価は0.5円程度。そんな単価で募集されるライターが、まともな医療系の記事を書けるでしょうか。私自身の経験では、某大手美容機器メーカーのお仕事をしたときは、文字単価3円以上頂いていました。もちろんすべての内容に専門家のチェックが入ります。
WELQの提示単価から見て、まともな質の記事を求めていないのは明らか。文字数だけ稼げばいいという感じですよね。
こうした安価な執筆依頼はWELQだけの問題ではありません。むしろ、WELQくらいの水準が平均的であるのが現状なのです。以下の画像はその一例ですが、リライトと言う名の実質コピペ案件が、0.2~0.5円とかいう単価で横行しているのです。
多様な働き方を認める流れで、クラウドワーキングも注目を集めています。ただし、仕事に対して適切な評価をしてくれるクライアントがもっと増えないと、先には進まないと思います。
クラウドワーキングサイトを運営する各会社様におかれましても、あからさまな低単価案件を排除するような仕組みを作っていただけるよう、お願いしたいところです。
【まとめ】WELQは氷山の一角
WELQを題材に色々考えてみましたが、今回は健康分野がターゲットであったため炎上したという話であって、この手のサイトはますます増加する傾向にあります。
そういう時代においては情報を選別する能力がますます重要になるでしょうし、例えばヤフーニュースのように記事を選別して掲載するサイト(キュレーションメディアとも)では、低質なメディアを積極的に排除するような試みをするべきでしょう。
ネットの感想を恣意的にまとめただけの記事が多すぎませんかね?ヤフーニュースさん。