「ドラクエウォーク」は位置ゲームの課題克服に取り組み(ただし完全ではない)、ドラクエらしさも上手に表現した良作【レビュー】

2019年9月20日

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2019年9月12日、ドラゴンクエストをモチーフにした位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク」がリリースされました。

「ポケモンGO」以降、有名IPを活用した位置情報ゲームはいくつかリリースされてきました。ガンホー×レベルファイブの「妖怪ウォッチワールド」、ドワンゴの「テクテクテクテク」、ポケモンGOと同じNianticの「ハリーポッター:魔法同盟」(通称:ハリポタGO)…

日本ではなかなか成功事例が出てこない中で、ドラクエウォークもどうなるのかという雰囲気もありましたが、セールスランキングを見ると、ひとまずは好調なスタートを切ったのではないでしょうか。

リリース1週間弱の時点ではありますが、ここまでプレイした時点での感想をまとめました。ちなみに私は、ポケモンGOを継続してプレイ中です。

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地域格差への配慮が見られる

ポケGOは都会が有利すぎる

ポケGOを始めとする位置情報ゲームの課題として、「実在のスポットを利用するため都会のプレイヤーが有利」というものがあります。

Ingress時代にプレイヤー数が多い都会に多くのポータルが設置され、ポケモンGOやハリポタGOでもその情報をそのまま利用しているため、都会に住むプレイヤーがゲームを有利に進められる状況があります。

例えばポケモンGOであれば、ジムの数は人口に比例したものでないと、ジムへのポケモンの配置しやすさや、レイドバトル時の集まりの点でバランスを取ることができません。

とはいえ、人口が少ない地域のプレイヤーがジムの攻略に困難さを抱えていることは改めて言うまでもないですし、ポケストップの数に関して言えばここまでの差をつける必要は感じられません。

同じようなプレイ時間でもトレーナーレベルに大きな差ができてしまうのは、人口が少ない地域のプレイヤーが抱えるモヤモヤのひとつとなっています。

ちなみにNianticがポケモンGOのあとにリリースしたハリポタGO(通称)は、なぜか地域格差がさらにきつくなり、プレイしづらい作品となってしまいました。

リアルなスポットにこだわらないドラクエウォーク

ドラクエウォークつぼ

ドラクエウォークは、地域格差に関してはそれなりの配慮がなされているように感じます。

回復やアイテム入手が可能な「つぼ」は、マップ上の施設に関係なく一定間隔で配置されています。

「クエスト」では、あらかじめ用意されたいくつかの目的地を自分で選択して目指しますが、こちらも目立つものがないところが目的地になることもあります。

さらには1日1回であれば、目的地を自由に選ぶことができるおまけつき。普通にプレイしている分には、地域格差を感じることはありません。

メガモンスター討伐はきつい

ドラクエウォークメガモンスター

とはいえどうにもならなさそうなのが、「メガモンスター討伐」です。冒険ランクが10になると、マップ上に巨大なモンスターが出現するようになります。

ポケモンGOにおけるレイドバトルのようなもので、最大8人のプレイヤーと一緒に参加することができます。

現在出現している「トロル」は推奨レベル15となっていますが、どうやらこれはソロでのレベル設定ではない気がします。つまり強い。

途中参加も可能な仕組みになっているのはいいことだと思いましたが、やはり人数が集まりにくい地域のプレイヤーは、倒せる確率が低くなります。

プレイヤーキャラクターを鍛えればソロでも太刀打ちできるようになることを願いたいものですし、それ以上にドラクエウォークのプレイヤー数が維持されることを願いたいものです。

ちなみに、メガモンスター討伐に必要な「とうばつ手形」は、「交換所」で1日1回500ゴールドで購入することができます。

ランドマーククエストはおまけ的

それ以外に地域によって差が出る要素として、「ランドマーククエスト」があります。

各都道府県に4つのランドマークが用意されており、そこに近づくとランドマーククエストが発生し、クリアすれば「おみやげ」がもらえます。

ランドマークが密集している東京都と、広大な北海道では集めやすさに差がありはしますが、あくまでコレクション要素ですし、そこまでの不満は出ないでしょう。

冒険心をくすぐる仕組み

図鑑の色が変わる

ドラクエウォーク図鑑

ドラクエウォークはポケモンGOのようにモンスターを仲間にできるわけではありませんが、倒した数が図鑑に記録されます。

倒した数により報酬がもらえるのですが、すごいなと思ったのが表示部分の色が変化することです。

古びた紙の色だったのが銅・銀・金と変わり、最後には虹色に輝きます。ひと目でたくさん倒したことが分かりますし、全部虹にしてやろうという意欲がわきます。

目的地が固定されていない

ドラクエウォーククエスト

先ほど目的地の話をしましたが、目的地として表示されるスポットは固定ではありません。

同じ場所を行ったり来たりすればいいわけではありませんので、クエストを進めるには必然的に、さまざまなスポットに向かうことになります。

見慣れた風景ほど、いろんな道を探索することはなくなっていくものですが、あえてそれをやらせるのは面白いと思いました。

モンスターのこころのやりこみ感

ドラクエウォークこころ

モンスターを倒すと、一定の確率で「モンスターのこころ」をドロップします。モンスターのこころは装備することができ、キャラクターのステータスアップに貢献します。

強いモンスターのこころほどステータス上昇幅は大きく、また同じモンスターのこころであってもS~Dのランクによって強さが異なります。

ちなみにモンスターのこころは、いくつか集めるとランクアップが可能であり、それが収集意欲をいい感じに高めてくれます。

そのほか、地図上に確定でモンスターのこころをドロップするモンスターが表示されることもあります。ちょっとそこまで歩こうかなという気分にさせてくれる、いい仕掛けだと思いました。
ドラクエウォークこころ

安全への配慮

本来は個々のマナーの問題だけど…

ポケモンGOがリリースされた当時、マナーの悪いプレイヤーの多さが問題となりました。

歩きスマホどころか運転中に操作をするプレイヤーまで発生し、悲惨な事故につながったケースもあります。

ほとんどのプレイヤーはルールを守ってプレイしているわけですから、アプリ側に過剰な対策を求めることには反対ですが、それでも配慮できる部分はあるでしょう。

ウォークモード搭載で画面を見ずにプレイ

ドラクエウォークは、「ウォークモード」を搭載しています。ウォークモードにしたまま歩くと、自動でモンスターと戦闘したり、つぼを割って回復したりしてくれます。

目的地までは一切画面を見る必要がありませんので、歩きスマホが発生する可能性も低くなるでしょう。

さらにはアプリを切っておいても端末の機能で歩数を計測してくれますから、歩数に応じた報酬は何の問題もなく獲得することができます。(同様の機能はポケモンGOにもあります。)

安全対策の側面があるのと同時に、あまりじっくりプレイしていられないときにも便利な機能です。

先行する作品で問題になった部分、改善すべき部分をしっかり研究し、それを自分たちの作品に生かしていくスタンスは、ドラクエに受け継がれたDNAなのでしょう。

ドラクエファンが戸惑わないゲーム性

シンプルなゲーム性で成功したポケGO

ポケモンGOのもととなった「ポケットモンスター」も、言うまでもなくRPG作品です。

しかしポケモンGOに落とし込むにあたり、RPG的な要素は大幅に削減されました。ポケモンの強化やバトルは簡略化されていますし、なによりポケモンのゲットは、ボールを投げるだけになっています。

とはいえそこまで簡略化したおかげで、普段ゲームをしない中高年層の強い支持を集めることになったわけで、これはこれで正解だったのだと思います。

ドラクエにも個性豊かなモンスターはたくさんおり、ポケモンGOと似たようなゲーム性にすることも可能だったとは思いますが、それではパクリですしドラクエらしさがありません。

RPGを強く打ち出したドラクエウォーク

ドラクエウォークそうび

日本のRPGに多大な影響を与えたドラクエらしく、ドラクエウォークはRPG感を強く打ち出した作品になっています。

キャラクターに存在する各種ステータスに職業。スキルやじゅもん、ストーリーなど、これはまぎれもなくドラクエです。

強力な装備がガチャであるのは賛否が分かれる部分ではあるものの(後ほど詳しく)、ドラクエの世界観をしっかり再現した作品となりました。

ゲーム上に表示されるマップは、ドラクエの平原の風景になっており、メインストーリー上で訪れた目的地には街や洞窟が配置されますので、まるで自分の街がドラクエの世界になったかのような、不思議な感覚を味わうことができます。

RPG感はハリポタGO(通称)も意識していた部分ではあるものの、少なくとも日本においては、コンテンツのパワーでかなわなかったということでしょう。

RPG感が苦手な人が出てくるのは仕方ない

逆にドラクエやRPG自体にさほど興味がない方の場合は、これらの要素をわずらわしく感じてしまうだろうなというのは、十分に理解できます。

レベル上げはどんどん時間がかかるようになるでしょうし、今後出てくるであろう上級職も、ワクワクする人とめんどくさいと感じる人に分かれるであろうことは、仕方がないことだと思います。

ドラクエのファン層は、私も含めてちまちまとしたレベル上げをそこまで苦痛に感じず、それどころか喜びを感じるところすらありますからね。

どちらに合わせるのかとなったときに、ドラクエウォークはドラクエファンの取り込みを重視したということなのでしょう。

ガチャ(ふくびき)について

ドラクエウォークふくびき

ポケモンGOとは世界観も含めてさまざまな違いがあるドラクエウォークですが、決定的な違いは、キャラクターの装備をゲットする手段としてガチャが用意されていることです。

クエストでゲットできる装備もあるものの、それらは強力なものではなく、レベルの低いうちからゴリ押ししようと思えば、ガチャを引くしかありません。

実際私もメインストーリーを進めていく中で、モンスターとのバトルに苦戦する場面が増えてきており、「強い装備があれば楽なのにな」と思わないこともありません。

ただ現状プレイした限りでは、課金してガチャを引かなければものすごく不利になるというような感じは受けていません。

歩いたり敵を倒したりするとたまる「ウォークマイレージ」でもらえるポイントはガチャ券と交換できますし、ゲーム無いイベントでもガチャを引くための「ジェム」はそこそこもらえます。

そしてなにより、ウォークマイレージでもらえるポイントは☆4武器と交換することもできますので、ガチャの比重は一般的なソーシャルゲームほど高くはありません。

ドラクエウォークマイレージ

今後のゲームバランスは注意深く見ていく必要があるでしょうが、少なくとも今の時点では、ガチャを引かないと楽しめないような作品ではありません。

SNSやYouTubeなどでゴリゴリに装備を整えて戦う人たちが出てくるでしょうけど、それに煽られて無理に引く必要はないでしょう。

【終わりに】いい位置ゲーが出てくれました

ドラクエの世界観になじみがあること、ポケモンGOやハリポタGOと比べても地域格差解消への目配りが見られることもあり、私個人としては高い評価をしています。

ポケモンGOとも両立できそうですし、今後も楽しく続けていこうと思いました。