2023年8月10日に早期アクセス開始の「Sengoku Dynasty」事前情報紹介。日本史好きもうなるこだわりで期待度高し
一昔前まで、海外の方が描く日本像はハチャメチャなものが多く、それはそれで面白かったのですが、近年は欧米を中心にオリジナル文化を尊重しようという機運が高まっています。「Ghost of Tsushima」のように日本でも高く評価される和風作品も生まれました。
さて、2023年8月10日にアーリーアクセス開始予定のPCゲーム「Sengoku Dynasty」は、ポーランドのスタジオ・Superkamiが「妙にリアルな和風サバイバルシミュレーションを作っているぞ」ということで注目を集めています。
今のところの情報や映像を見る限りでは、日本の中世について相当量の情報収集を重ねている様子が分かります。これは日本史大好きおじさんの私が保証します。ということでゲームの概要を紹介します。もちろん日本語対応です。
引用:Sengoku Dynasty(Steam)
戦国時代なのに庶民が主役
日本の歴史を描いたゲームというと、やはり有名なのは信長の野望シリーズでしょう。戦国時代とその前後をモチーフにしたシミュレーションゲームで、大名として天下統一を目指します。
ゲームにしろ教科書にしろ、歴史の多くは一定の権力を握った側の視点から描かれます。そのほうが歴史の大きな流れを感じることができて面白いですし、なにより多くの資料が残されているため構築しやすい側面があります。
しかし当然のことながら、そこには庶民の暮らしがあり、村を統率するリーダーもいました。中にはそこから駆け上がり有名武将になった人もいます。ここはこれまでのゲームではほとんど描かれていない部分です。
Sengoku Dynastyはまさにそこに目をつけたゲームです。開発にあたり、東京の大学の図書館で資料を集めたり、専門家の協力を得たりするなどして理解に努めているそうです。
なによりのポイントは、網野善彦氏の書籍を参考にしたと開発者が述べていること。中世日本研究を代表する歴史学者で、特に庶民の暮らしに着目した人物で知られます。私も学生時代どれだけお世話になったことか。この方の名前が出てくるあたり、開発スタジオの本気ぶりが伝わってきます。
本作のパブリッシャーであるToplitz Productionsからは、先に中世ヨーロッパをモチーフにした「Medieval Dynasty」がリリースされ好評を博しています。ただし開発スタジオは別ですので、ゲーム性は大きく異なる可能性があります。
引用:Sengoku Dynasty(Steam)
ゲームの特徴
本作のジャンルは、「サバイバルビレッジビルダー」とされています。各要素の特徴が順次公開されていますので、判明しているものから紹介します。新要素があれば追記します。
モード・プレイ人数
ソロプレイのほか最大4人のマルチプレイにも対応します。
すべてのプレイヤーは同じ王朝に属しているため、資源は互いに共有されます。
オープンワールド
フィールドはオープンワールドで表現されます。全マップは4×4kmで3つの地域に分かれています。早期アクセスのリリース時点ではリージョン1にのみアクセスでき、開発状況に応じてプレイ可能範囲が広がります。
複数の村を育てることが可能
村を建設し、それを繁栄する都市に成長させ、住民たちとの生活を楽しみます。複数の村を建設し、エリア一帯を発展させることになります。これは、労働者を確保したり、近隣の資源に合わせた村作りができたりといったメリットを狙ってのものだそうです。
村を建てる場所は自由に選択でき、建物の配置も自由。建物のカスタマイズ要素もあり、扉や窓の位置、壁の木材などあらゆる部分を変更することができます。カスタマイズの幅は早期アクセス中に拡張される予定です。
とはいえ、すべてを均等に発展させるばかりではなく、大きな集落を中心にそれをサポートする形や、一つの村を集中して発展させることも可能とのことですので、プレイヤーに委ねられる部分も大きいようです。
建築物は、建築範囲や予算、大きさや目的に応じて5種類に分類されます。
- 簡易建物:焚き火や寝床など、広大な世界を探索する際に役立つもの。鐘楼で村に命名も可能。
- 村落用建物:井戸、鳥居、神社など暮らしに必要な設備。
- 複雑な建物:家屋や倉庫、職業別の作業場など(鍛冶屋や酒蔵など)。
- 室内設備:むしろや畳、たたらやその他道具などを備えることで、機能面を向上させる。
- 飾り付け:見た目の要素。行灯や掛け軸、畳や神棚など。
橋や監視塔といった大規模な構造物も建設可能です。完成するには膨大な時間と資源が必要ですが、王朝の権威を高める鍵となるようです。
引用:Sengoku Dynasty(Steam)
純和風なビジュアル
ゲーム映像を見てもっとも目を引く部分と言えるのが、日本の中世を再現した風景の美しさです。森や雪山、桜並木に温泉、なにより農村風景など、「本当にこれ、海外のスタジオが作ったの?」と思ってしまいました。
開発は最新のゲームエンジンである「Unreal Engine5」に切り替えられたこともあり、より美しい日本の風景が楽しめることが期待されます。
引用:Sengoku Dynasty(Steam)
ストーリー・設定
戦から逃れてきた無名の民から始まり、やがて偉大な指導者や職人、精神的支柱など、さまざまな道が用意されているようです。身分がほとんど固定されている他の時代であればこうした「変化」を求めるのは難しいことですが、豊臣秀吉の例を挙げるまでもなく、それまでの秩序が崩れた戦国時代ならそれも可能でした。
あくまでゲームですのでフィクションと割り切ることもできるのでしょうが、歴史的背景を十分に理解したうえでそれを生かしたゲームづくりをしているのは素晴らしいなと思います。
プレイヤーの村は本願寺の影響下にあり、武士などに支配されることはありません。多くのコミュニケーションやクエストは本願寺からもたらされ、ひとつひとつをこなしていくことでリーダーとしての地位を確立します。
実在の人物は登場しないものの、その存在を感じることができる場面は多々あります。登場するNPCの中には歴史上の人物にインスパイアされた人もいて、会話の中で歴史的な背景を知ることができます。
農業・ランダムイベントなどもアップデート予定
農業も中世日本に欠かせない要素として実装されます。早期アクセス時点ではかなりシンプルな仕組みであり、作物も数種類しかありませんが、大幅なアップデートが予定されています。
季節の移り変わり、王朝の発展、生産の変化などがゲーム内に盛り込まれる予定ですが、早期アクセス中に順次追加されます。
生き方の選択要素あり?
プレイヤーが目指す生き方にはいくつかの方向性があるようです。他ゲームにおけるジョブのような感じで機能していくのかは現時点で不明です。
- 指導者:NPCと出会って仲間になるように話したり、クエストをこなしたりすることで、相手への影響力を高めましょう。商売や恋愛、家族としての暮らしなど、コミュニティを作りあげていき、村人をまとめましょう。
- 職人:技術を磨き上げて、物語を進めるため役に立つ新しい道具や武器、宿を作りましょう。生きるために材料を作り、村からの要望を満たしましょう。
- 武士:さまざまな敵と対峙し、古来の武器を使用して、接近戦もしくは中距離戦を繰り広げましょう。食べるための狩り含まれます。
- 悟りの道:谷を探索し、大自然の魅力を再発見しましょう。神秘的な寺でお参りをして、パワースポットで瞑想にふけりましょう。八百万の神々に祈り、その恩恵に感謝し、心に平穏を築きましょう。
日本語音声は検討中
日本語の音声については真剣に検討しているものの、声優を起用するコストと時間の関係から、早期アクセス中に実装されることはないだろうとのことです。
戦闘の頻度・メカニクス
戦闘は避けることができ、戦闘に頼ることなく大部分をクリアできるような平和主義的なゲーム設計を目指してきたとのこと。動物と対峙する場面はあるものの、避けることは可能です。
戦闘は近接武器と遠距離武器の組み合わせで設計されています。素早い武器か強力な武器を選択でき、戦術の幅は広め。始めは苦労する小さな盗賊団との戦いも、それらのメカニズムをうまく利用することで有利に進められるようになります。
武器には日本固有の要素が盛り込まれており、早期アクセス時点から自分だけの刀を作ることができます。武器のカスタマイズもアイデアとして検討されています。
リリース時点では、戦闘よりも建築や村の管理、フィールド探索に重点が置かれており、本格的な戦闘システムは今後の開発の中で追加していくとのことです。
Medieval Dynastyとの類似性について
インターフェースやキャラクターの操作性などで、「Medieval Dynasty」と「Sengoku Dynasty」には類似点があるとのこと。「Medieval」ファンのためにも、ゲームの基礎的な部分はあまり変えないようにしてきたようです。
一方、まったく新しい要素が加わっていたり、カスタマイズ性が向上していたり、要望が多かった視点切り替えといった要素を最初から実装していたり、明確に異なる部分もあります。
結婚や子どもといった要素も実装予定ですが、すべてのシステムに影響を与えるようその為、テストには時間が掛かるとのことです。
釣り・採掘の要素も
村人に漁師の役割を与えれば、村のために魚を獲って貢献してくれるようになります。開発が進めば、釣竿を購入して釣りを楽しめるようになる予定であり、この部分はさらに大きな計画があるとのことです。
資源の採掘はツルハシから始まり、適切なインフラを配置することでより効率の良いものになっていきます。資源が豊富なスポットの近くに村を配置すれば、採掘で発展する王朝も夢ではないでしょう。
終わりに
「Sengoku Dynasty」の紹介でした。どの程度のサバイバル感があるのかなど気になることは多々ありますが、定期的に公開される情報によりワクワク感はどんどん高まっています。
日本を舞台にしたサバイバルゲーム、あるいは拠点づくりゲーム自体、数はそれほど多くありませんので、どのように仕上がっていくのか楽しみです。今後も新情報が公開され次第、記事を更新していきますので一緒に見守っていきましょう。