【レビュー】「Let’s School」で楽しく学校づくり。翻訳の粗はあるが正統派な経営シミュレーションゲーム

個人的に学校にはいい思い出がありません。子どものときはもちろんのこと、勤務していた時期も含めてネガティブな印象が強いのですが、シミュレーションゲームとなれば話は別です。

さて、今回紹介するのは、学校経営シミュレーションゲーム「Let’s School」です。PCのほか、Nintendo Switchなどさまざまなゲーム機で楽しむことができます。

開発を手掛けたのは、Pathea Games。「My Time at Portia(きみのまち ポルティア)」「My Time at Sandrock(きみのまち サンドロック)」といった作品が有名なスタジオです。

日本語対応済みですが、後述の通り翻訳にやや難があります。レビューはPC版で行っています。レビュー時プレイ時間は30時間です。

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廃校を立て直して地区で一番の学校に

柔軟な難易度設定でプレイしやすい

「Let’s School」では、廃校になった学校を校長として立て直すことが目標となります。始める学校やさまざまな設定により難易度が変えられますので、初心者から上級者まで楽しみやすい配慮がなされています。今回のレビューでは、通常難易度を選択しています。

クリア目標は4種類から設定可能で、プレイ中に変更することもできます。途中で方針が変わっても安心です。

教育にも金が必要

基本的な流れとしては、「生徒を募集する→受け入れる教室や施設を作る→テストに合格するため勉強させる」の繰り返し。日本の高校にあたる設定ですので、生徒は3年間で卒業してまた新たな新入生を迎えます。

経営シミュレーションゲームですから、学校とはいえ収入を安定させるのがなによりも大切です。基本的な収入源は、生徒が毎日通学する際に入る学費と、週末のテストに合格した際の報酬です。それにプラスして、売店などショップの売上やミッションクリアなどがあります。

生徒集めも競争だ

そういうわけで、生徒をどんどん受け入れて収入を安定させたいのですが、話はそう簡単ではありません。プレイヤーと同じエリアにはライバル校があり、生徒はライバル校との奪い合いになります。

実績が少ないうちは生徒をたくさん集めることが難しく、合格実績や投資で生徒募集ポイントの評価を上げていく必要があります。妙にリアル。

まずは合格難易度が低い近隣の募集ポイントから生徒を集め、しっかり教育して資金を稼ぎつつ、学校の設備や教師の質を上げて、より合格難易度が高く収入が大きい募集ポイントから生徒を呼び込むことを目指すことになります。

募集ポイントごとに志望校や生徒の学力が設定されており、どの教科をどれだけ学ばせればいいかは異なります。片っ端から募集するとすべてを合格させるのは難しくなり、不合格で学校の評判を落とすことになります。

生徒の要望に応えるのも仕事

もちろん、勉強だけ教えていればいいというものではありません。生徒は、水が欲しい、食事をしたい、トイレがないなどさまざまな要望を出しますので、それらに応えていかないと学校の評判は低下して生徒募集の効率が悪くなります。

授業を教えるには先生が必要です。授業には時間割があり、他クラスと掛け持ちすることはできないため、科目をうまくずらすか、教師を増やして対応することになります。文系と理系くらいしかないうちはまだマシですが、美術や体育が入ってきたり、特殊教室が必要な授業が出てきたりするともう大変。

このように、生徒を増やせば増やすほどお金がかかる仕組みになっており、始めのうちは各学年1クラスを運営するので手一杯になるはずです。小規模からコツコツ始め、簡単には儲けさせてくれない感じは、経営シミュレーションとしてのバランスはかなりいいように感じました。

研究や管理の重要性

研究ツリーがあり、これを進めていくと新たな施設や授業、クラブが開放されていきます。基本的にはどんどん開放していきたいところではあるものの、研究を担うのも教師なので、増やせばそれだけ人件費がかかることになります。

管理の要素も、気軽な施設建設を許してくれません。施設が増えたら管理部を作ってそこに管理を任せる形になりますが、担当職員の管理能力を超えるとオーバーフローを起こして組織が機能しなくなります。資金に加え、むやみな拡張を抑制する要素のひとつとなっています。

翻訳は課題あり

ゲームとしてのバランスは高く評価しますが、翻訳の品質に関しては気になりました。例えば他校の校長のメッセージで、生徒を募集するポイントの地名が、翻訳されないならまだしも「募集ポイント名」に置き換えられてどこを指しているか不明だったり、説明が意味不明だったり。

分からないと先に進めないというほど致命的なものではないのですが、頻繁に表示される部分での変な翻訳がちょいちょいあるので、どうしても目についてしまいました。

総合評価

ずっと気になっていた「Let’s School」をようやくプレイでき、本当に楽しい時間を過ごすことができました。

学校を題材にしたシミュレーションゲームは多くありません。その要因が、教育と経営のバランスをどこで取るのかの難しさではないかと推測しています。本作は経営の部分に軸足を置きつつも、教育にもほどよいリアリティを持たせて学校経営シミュレーションゲームとして成立させているように感じました。

研究のたびに設備のアップグレードをするのがやや面倒、後半どうしてもだれてくるなど、シミュレーションゲームで起こりがちな課題はありつつも、とても楽しく遊ぶことができました。

発売からそこそこ時間が経っていることもあり、割と大きめのセールの対象になりやすいゲームですので、興味を持った人はぜひどうぞ。

【プチ攻略】学校間交流より廃校に追い込め

攻略情報やレビューを見ていると、言っていることがバラバラの要素があったので、ここで整理しておきます。2025年1月時点の最新バージョンの情報です。

管理の効率を上げるモジュールや食料、販売アイテムはショップや学校間交流で手に入ります。学校間交流は、称賛して好感度を上げた後、お金やポイント、アイテムと交換で手に入れる流れになります。学校間交流でしか手に入らないものも結構あります。

ただ、生徒のシェアを奪って廃校に追い込むと、一部は無料で手に入るほか、それ以外のアイテムはショップなどで販売されるようになります。その学校にいた特別な教師も普通に応募してくるようになりますので、廃校に追い込んだほうが手っ取り早いと感じました。

廃校に追い込むには、その学校がシェアを持っている募集ポイントから生徒を集め、試験に合格させて自分の学校の好感度を上げていくだけ。複数の募集ポイントを同時に攻めるのがコツです。

PCゲーム

Posted by hiro