ソシャゲ企業の業績が停滞。ガチャゲーは儲からなくなった?ゲームのマンネリ化とバトロワの台頭と
先日「この10年で革新的だったゲーム」の記事を書かせていただきました。
その中のひとつに私は、スマホゲームの「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)を挙げました。ガラケー時代の「ガチャを引いてポチポチ」から、「ガチャ+ゲーム性」への進化を評価してのものです。
しかし当時であれば革新的であったこのシステムも、同じパターンのゲームが量産されることですっかりありふれたものになりました。
そして世界のトレンドは、その先へと向かいつつあります。
スマホゲーム各社の業績に陰り
近年、スマホゲーム各社の状況は、必ずしもいいものとは言えないようです。そんな状況がひと目で分かる記事が、先日Social Game Infoさんから公開されました。
ミクシィ、コロプラといったこれまでスマホゲーム市場をリードしてきた会社も含め、収益力が相当に低下してきている現状がよく分かります。
アプリの売り上げランキングを見ると、これらの会社のアプリが上位を占めていますので、あれっと思われる方も多いかもしれません。
これはつまり、「上位陣のピークが過ぎつつある中であっても、新規のアプリがそれにすら追いつけない」という現状を表しています。
初めの1,2ヶ月で期待感をもたせてくれる作品でも、いつの間にかランキングからいなくなっていることはよくありますよね。
ご存知の通り、今ゲームの世界で一大ブームとなっているのがバトルロイヤルゲームです。課金要素は見た目に関するものだけであり、実力と運で勝負が決まるこのジャンルが、多くのゲーマーを魅了しています。
そしてポケモンGOも相変わらず人気。こちらは課金によって有利になるシーンもあるものの、それが大きな割合を占めているわけではありません。スポンサーも活用しながらの「リアル課金」を採用しているのも特徴ですよね。
一方の日本のソシャゲでは、ガチャをベースにするゲームからの脱却が図れていません。ゲーム部分でプレイヤーを魅せることができなくなりつつあり、それがプレイヤー離れを引き起こしています。
ガチャ、コラボ頼みでソシャゲがマンネリに
ガチャのほか、日本のソシャゲに共通して見られる特徴がコラボ頼みです。コラボ相手のファンに課金を促すこの仕組みも、当初こそ物珍しさがあって人気を集めました。
ただ今ではそれが当たり前になってしまい、プレイヤーもすっかり慣れてしまいました。「ああ、またエヴァか」みたいな。
最近ではリリース前からコラボを発表しているゲームもあります。この手法は私には、「コラボに頼らないとやっていけないゲームです」と宣言しているように思えます。
ゲームメディアが「簡単だけど奥深い」「爽快なアクション」などともり立てても、プレイする側はおなじみのセリフにピクリともしません。
ガチャを採用しなければいけないという縛りがあるのかは知りませんが、結局それがアイデアの範囲を狭めてしまっているのでしょう。
もともと海外では、日本ほどガチャゲームが広がることはありませんでした。特に最近はルートボックス批判に代表される「課金要素のランダム性」に関して、かなりシビアな見方が広がっています。
合法か違法かの議論はもちろんのこと、ゲームをプレイする人がそれを容認するかという問題もあります。
日本にはゲーム機のゲームで独自のアイデアを提案しヒット作を飛ばすゲーム会社でも、なぜかスマホに来ると、ガチャベースの発想になってしまう現状があります。
「手っ取り早く稼げるからスマホゲームをつくろう、それならもちろんガチャだろう。」というのが、当たり前になってしまっているのでしょうね。
最近はスマホゲームも大作化していると言われますし、それだけ開発にも時間がかかっていることが想像されます。
動き出したプロジェクトを止めるのは困難でしょうから、「どうせヒットしないだろうな」とプレイヤーも、あるいは開発者も薄々感じているテンプレガチャゲーが量産される時代は、もうしばらく続くのかもしれません。
日本企業から第二のバトルロイヤルは生まれるのか
PUBGも、荒野行動も、ポケモンGOも、日本企業のゲームではありません。もちろんポケモンGOの場合は、日本で生み出されたポケモンという強力なIPが貢献していることは言うまでもありませんが。
数年前までは「海外ゲームがそこまで日本人に受け入れられるとは思わない」的な発想もありましたが、もはや時代は完全に変わりました。
面白い作品であれば、どこの国のどこのゲーム会社なのかは関係なくなっているのです。
では日本は、もうスマホゲームで勝つことはできないのでしょうか。そんなことはないと私は思います。
今流行しているバトルロイヤル系のゲームですが、人気のジャンルではあっても万人受けするジャンルというわけではありません。
銃を使って敵を倒す、激しく動き回って戦うゲームが性に合わない人は、少なくないのではないでしょうか。私もその一人です。
また同じ戦うにしても、もう少しカジュアルなゲーム性にすることで、取り込めるプレイヤーもずいぶん多くなる可能性はあります。
ガチャありきのスマホゲームは、面白さよりも「どう稼ぐか」が先にきてしまっている印象があります。だからガチャを引くほど有利になるシステムを採用しているのでしょう。
反対にバトルロイヤル系は、課金をしてもプレイヤーが強化されるわけではなく、あくまで見た目に対する課金にとどまります。
「課金すれば楽しめる」のと、「上達すれば楽しめる」のでは、ゲームをプレイするものとしてどちらの満足度が高くなるかは、言うまでもありません。
【終わりに】2019年は非ガチャのスマホゲームに注目したい
途中でも書きましたが、日本のゲーム会社はゲーム機で、世界を驚かせる作品を作り続けています。
そのポテンシャルがあるからこそ、スマホゲームで主導権を握れていないのは非常にもったいないと感じます。
ガチャの成功体験があまりにも強烈であったために、そこにとらわれてしまうのはやむを得ないことでしょう。
バトルロイヤルのヒットを受けて、日本のスマホゲームも新しい展開を準備しているのか、あるいは変わらずガチャゲーにこだわるのか。
2019年は個人的に、「非ガチャの基本無料ゲーム」に注目してスマホゲームを見ていきたいと思います。