ここ10年で若者の睡眠時間が増えたらしい。テレビ離れにもつながるライフスタイルの変化とは
多分あまり話題になっていなかったと思うのですが、こんな面白いデータが発表されていました。
若者のメディア行動変化が“就寝時刻の前倒し”のせいって本当?(電通報)
メディアの接触方法の変化と若者の就寝時間が早くなったことを結びつける記事で、こちらを公開しているのは大手広告代理店の電通です。
2019年2月に刊行された「情報メディア白書2019」の内容を紹介するもので、もちろん自社の業務に活かすための調査ですから、ネット上のアンケートみたいないい加減な調査ではありません。
若者のテレビ離れの一因はこれだった?
「若者のテレビ離れ」はもはや聞き飽きたフレーズです。その原因としては一般的に、
- テレビ番組が中高年をターゲットにしたものばかり
- YouTubeなど動画配信サイトの普及
などが挙げられます。どちらも間違っていないでしょうし、それぞれが影響しあって今の状況を作っていると推測されます。
「ただ原因はそれだけじゃないんじゃない?」というのが、今回の記事の指摘。なんと若者の就寝時間が年々早くなっているというのです。
引用:若者のメディア行動変化が“就寝時刻の前倒し”のせいって本当?(電通報)
引用:若者のメディア行動変化が“就寝時刻の前倒し”のせいって本当?(電通報)
このグラフは、その時間までに眠りについている人の割合を表したものになります。
これを見ると、24時には男性の60.8%、女性の67.9%が眠りについているようなのです。
2009年と比較してもその違いは顕著で、男性で+18%、女性で+13%も増えています。特に男性の増加幅が大きいですね。
これには驚いた人も多いのではないでしょうか。若者と言えば夜も遅くまで起きていて、テレビを見たり街で遊んだり、スマホをいじっていたりというイメージの人が多いと思います。
しかし実際は、日付が変わる前までに眠りについている人のほうが多いんですよね。しかもその割合が年々増えているのです。
深夜のテレビ番組と言うと基本的には若者向けとされていますが、このような変化がテレビ離れに拍車をかけているのかもしれません。
若者の変化は特に目立つ。その理由は?
もしかして日本人の価値観が変わったのかなとも思うのですが、こちらのグラフを見るとそうではないことが分かります。
引用:若者のメディア行動変化が“就寝時刻の前倒し”のせいって本当?(電通報)
ここまで明確に増えているのは、「20〜34歳」の年齢層だけなんです。2010年以降に起きた何らかの変化が、若者のライフスタイルに影響を与えていることが推測されます。
私が思うに、
- リーマンショック以降に進んだ「残業当たり前」の働き方の変化
- 非正規雇用が増加し街で遊ぶ余裕のない若者が増えた
- そもそも街で遊ぶことに魅力を感じない若者が増えた(スマホ、ゲーム、動画など娯楽の多様化)
などは確実に影響しているでしょう。
ただそれだけなら、自宅でほかの娯楽を楽しんで睡眠時間を削ることはありえます。睡眠時間をしっかり確保していることは、間違いなく考え方の変化があります。
健康面でも金銭面でも、一時の楽しさよりも無理をした翌日の辛さ、無理が積み重なった時の将来について、現実的に判断しているのだと思います。
バブル期や高度経済成長期ほどの成長期待がもてない今の時代に、一歩一歩堅実に生きていくことが好まれるのは、当然の成り行きではないでしょうか。
若者の変化はソシャゲにも影響?
ゲームブログなのでこういうネタも紹介しておきます。
ソシャゲをプレイしている年齢層は、平均で30代後半〜40代だそうです。
「ネット上でガチャに一喜一憂する声を上げている中には、おじさんたちも結構いる」と考えると、見方も変わってきますよね。
一般的には
- ガチャを引ける経済的余裕
- 年をとると難しいゲームが辛い
などと解釈できそうですが、今回分析してきたとおり若者の堅実志向が表れているのだとすれば、ガチャゲーが好まれなくなりつつある状況も理解できるのかもしれません。
【終わりに】若者の◯◯離れを嘆く前に
若者の睡眠時間の増加について、私なりに考察してみました。
これが正しいかどうかは分かりませんが、ビジネスに取り組む人たちは、「若者の◯◯離れ」なんて嘆く前に、この変化をしっかり理解する必要がありそうです。
なおこの資料の出典元である「情報メディア白書2019」には、プロの分析が載っています。
もちろんそれだけではなく、2019年におけるメディアの現状について、多面的に分析した一冊です。
お値段は張りますが、メディアについてよく理解しておくべき立場の人は、読んでおくとためになるんじゃないかなと思います。