「eFootball 2022」正式リリースは2022年春に延期。ウイイレからのリニューアルに失敗し圧倒的不評となった原因とは?
9月30日にリリースされた「eFootball 2022」。PCゲームストアSteamの不評記録を更新する最悪なスタートを切りました。
ファンは何に怒り、KONAMIはそれにどう向き合おうとしているのか。長年ウイイレを愛してきた私の見方も交えて、2022年春への正式リリース延期が決まった「eFootball 2022」の現状をまとめました。
スマホを含めたクロスプラットフォームが最大の要因か
スマホに最適化を図ったせい?
各種メディアやファンの間で挙がっている声をまとめると、
- 不具合の多さ
- 操作感の悪さ
- モードの圧倒的不足
- パススピードが遅すぎる
- グラフィックのひどさ
- 操作方法がガラッと変わったのに説明が不十分
- なぜかVer0.9で正式リリース
などがありますが、ざっくり言ってしまうと、「スマホ版を含めたクロスプラットフォームを図ったがゆえの、PC版やゲーム機版におけるゲーム体験の低下」でしょう。
スマホもある程度の高性能化が進んだとはいえ、PC/ゲーム機とは明確なスペック差が存在します。さらにスマホの中でも性能差は大きく、一般に普及しているレベルに合わせるとなると大幅な制限が必要となります。
タッチパネルの操作感やUIを優先したかのようなボタン操作の操作感の悪さを指摘する声も大きく、強引なクロスプラットフォーム対応の弊害が明確に出ることとなりました。
基本無料のガチャベースも不満の種に?
もう一つ加えるとするのならば、基本無料でガチャで稼ぐことを前提としたビジネスモデルも、悪評の根底にありそうです。これもおそらく、買い切りゲームが売れづらいスマホゲーム事情を意識したものでしょう。
「ゲームプレイだけでも強い選手は獲得できる」とし、課金周りについては現時点でも十分に明らかにしていませんが、「プレミアムプレイヤーパック」と称して「抽選契約券」や「eFootballコイン」などの課金アイテムを販売していることを考えても、実力でなく課金額で優劣が決する「Pay to Win」であることは容易に想像できます。
実力勝負の「e-sports」を想起させるタイトルに変更しながらこの形態をとってしまったことは、ガチャへの視線が特に厳しい欧米において、強い批判を浴びるのも致し方ないことでしょう。
「マスターリーグ」などのオフラインモードは後日DLCとして配信すると発表してはいるものの、ロードマップ(11月5日に撤回)には記載されず詳細は不明。「ウイニングイレブン」時代からのファンからすると、「ウイイレが終わって劣化サッカーガチャゲーができた」としか思えない状況です。
これらの懸念はおおむね、私が発表直後に書いた記事の通りになりました。私だけではなく、多くのウイイレファンもこの事態は予想できたのではないでしょうか。
KONAMIの対応と今後の展望。スマホ版の扱いが焦点
開発チームは今回の騒動を受け、リリース直後の10月1日には公式Twitterでゲーム改善の意思があることを表明しました。この比較的早い対応は、KONAMIの危機感の表れと見ることができるでしょう。
11月5日には、不具合修正が中心のアップデート(Ver0.9.1)が配信されました。そのほか、10月下旬にはユーザーアンケートも行っており、それをもとに今後のアップデートを行うとしています。
そして、11月5日にはVer1.0アップデートを2022年春に変更するものとし、不具合修正には引き続き取り組みつつも、抜本的な改善のため各種モードの追加を延期することを発表しました。
「eFootball™ 2022」アップデート配信(バージョン1.0.0)延期、および「eFootball™ 2022 Premium Player Pack」販売中止のお知らせ(KONAMI)
公式サイトでは、先に公開されたロードマップが取り下げられたほか、これまで対応デバイスに含まれていたiOS/Androidの記載が削除されました。
引用:efootball公式サイト
これがスマホ版の完全な切り離しを意味するのかは分かりませんが、現状の不満はスマホをクロスプラットフォームに含めていることに起因すると考えられるだけに、それくらいやらないとユーザーの信頼は戻らないのではないかと思います。
【追記】11月26日にiOS/Androidの記載が復活しました。なぜ一時削除されていたのかは不明ですが、そのまま切り離してくれたほうが良かった気もします。
ライバルとしてしのぎを削るFIFAシリーズ一強となればサッカーゲームの進歩が遅くなってしまうことも懸念されるだけに、なんとか息を吹き返してほしいものです。