【レビュー】リアル系ライフシム「inZOI」の楽しさを自分なりに考えた

3月28日に早期アクセスがスタートした、PC向けリアル系ライフシム「inZOI」。

このジャンルは「ザ・シムズ」シリーズの一強となっており、「そもそもライフシムってなんなんだ?面白いの?」という人も少なくないはず。

私自身、シミュレーションゲームが好きでありながら、ライフシムのジャンルだけは、そこまでしっかり触れることなく来てしまいました。

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キャラクターや自宅のカスタマイズがリアル

まずは、inZOIを語るうえで外せない、リアルすぎるキャラメイキングから始まります。本当に細かくいじれるので、自分に似せようと思うとかなり近いものが出来上がります。自分を登場させてもいいですし、まったく別のキャラクターを愛でるのもいいでしょう。

性格や人生の目標も設定できます。ここで設定した内容によって、キャラクター(Zoi)は自律的に行動します。

家族の設定も可能で、最大8人家族になれます。今回は1人でプレイしますが、自分の家族や他のキャラクターも作成できるので、町ごとシミュレーションすることも可能です。

住む街の設定。現時点では3都市から選べます。今回は韓国の大都市モチーフ「ドウォン」でプレイします。

住む家の建築。お金の範囲内で自由に設計できます。こちらもプリセットあり。間取りや家具は後からでも追加・変更できるので、まずは適当に始めてみてもいいでしょう。

ガッツリ介入も見守りスタイルも可能

諸々の設定を終え、街に降り立ちました。Zoiは自律行動を行います。性格や欲求、人生の目標に従った行動をしますが、そこに適度に介入してZoiを導いてやるのがプレイヤーの役目です。自律行動をオフにして完全に操作することも可能です。

まずは、なるべく介入せず見守ってみることにしました。食事をしたり、本を読んだり、パソコンで作業をしたり。それぞれの行動をするたびにスキルレベルが上がっていきます。

これが上がることで、特別な仕事で収入が得られるようになったり、人付き合いが上手く行きやすくなったりなど、さまざまなメリットがあります。

家具や家電、屋外の設備など、さまざまなものをクリック(インタラクト)するとそれにまつわる行動をするよう指定できます。特定の能力を強化したい、欲求を満たしたいときなどに活用できます。

いろいろなものがインタラクト可能になっているので、試してみると面白いでしょう。家具などを追加すると、それを使った新しい行動をするようになります。

ふらりと外に出ると、家の前のベンチに枕持参でゴロリ。自由気まますぎないか…

欲求のままに動くZoi

たまにZoiの「あれやってみたいな」リストみたいなものが時間制限で出るので、それに応えてやると欲求を手軽に満たせる特別なアイテムを買うためのポイントが入手できます。絵が見たいそうなので、美術館に行ってみることにしました。

スケジュール設定では、一週間単位でお出かけの予定を設定できます。学校や仕事などもここに組み込まれます。スケジュールを設定しておけば、時間になるとZoiが勝手に移動してくれます。ドタキャンも可能です。

さて、美術館にやってきてひとつふたつ絵を見ると、またお昼寝。おそらくこれは、睡眠の欲求が高くなっているせいだと思われます。

デフォルトでは、画面下部にそれぞれの欲求を表すゲージ兼ボタンがあります(UIは自由に移動可能)。食欲や睡眠などがあり、これはちゃんと満たしていかないとさまざまな悪影響を及ぼします。

基本的にはZoiが自分でなんとかしますが、心配ならボタンを押して介入しましょう。例えば食事ボタンを押すと、お店で購入して食べたり、家にいれば冷蔵庫を開けて食べたり、その場所から最短で欲求を満たせる行動を取ります。

帰宅後は食事やシャワー、PC作業をして就寝。就寝中は時間が高速で経過します。そういえば、誰とも会話せずに終わったなあ…

コミュニケーションも大事

翌日。朝から人が訪ねてきました。Zoiに任せて会話してもよし、テーマや話し方を指定してもよし。会話によって関係値が深まり、それを繰り返すことで友人になったり恋人になったりします。

基本的には、外にどんどん出たほうが交流は深まりやすいのは現実と同じ。Zoiが自主的に話しかけることもありますし、こちらから仕向けることも可能です。仲良く話してくれればいいのですが、性格によってはいきなり口論をふっかけることもあって気が気じゃありません。

そのほか、学校に通ったり、アルバイトや就職してお金を稼いだり、車を買って運転したりと、さまざまな行動が可能です。早期アクセスということもあってか、学校や講演など一部行動では、Zoiの動きが見られず時間だけが経過します。

ゲーム内の一週間で季節が1つ進みます。Zoiは年齢を重ね、子供から大人、老人、そして死に至ります。死亡した後は、また新たなZoiを作成して見守る形になるようです。

人生の追体験こそinZOIの面白さか

派手なアクションもなく、戦略的な要素もなく、人生そのものをシミュレートするというライフシムゲーム。一体どんな目線で楽しめばいいのかと思っている人も、きっと少なくはないでしょう。

何が面白いのかということを説明するのが非常に難しいのですが、でも気づけば何時間とZoiの行動を見守ってしまう。そんな魅力がinZOIにはあります。

他のゲームに例えるのが難しいところではあるものの、基本的に見守りつつ適度に介入するという遊び方から、比較的近いのが「トモダチコレクション」なのかなと思います。

他のあらゆるゲームと異なり、inZOIの中で起きることは、プレイヤーの誰しもが日常的に経験していることばかり。それをZoiを通して客観的に眺めることで、「これをしてみたらうまくいくんじゃない?」とか、「なんでもっとうまく話せないかなあ…」とか、そこにプレイヤー自身の人生や価値観をついつい反映させてしまうあたりに、面白さがあるのかなと思ったりもします。

ひとりの人生を見守るのがライフシムの基本的な遊び方だとは思いますが、たくさんの自作Zoiを町に登場させてそれぞれの人生を眺め、時には介入するのも本作なら可能です。ありふれているけどたしかにドラマがある。inZOIで体験できるのはそんな人生そのものなのでしょう。

要求スペックについて

inZOIは、そのグラフィックからも分かる通り、要求するスペックはそれなりに高いものがあります。最小レベルでも、RTX2060以上のGPU(グラフィックボード)が必要ということで、ハードルが高いのは確かです。(もちろん、それに合わせたレベルのCPUやメモリも必要です。)

グラフィックレベルは4つのプリセットから環境に合わせて自動で設置されるほか、プレイヤー側でカスタマイズすることもできます。参考までに、私はRTX3070搭載のPCで「ウルトラ」が適用され、特にカクつき等を感じることはありませんでした。

また、現在は実験的機能として搭載されている、AIを活用したより高度なシミュレート機能(スマートZoi)を入れると、要求スペックはさらに高くなり、最低でRTX3060(8GB)、推奨でRTX5070以上まで跳ね上がります。

開発スタジオは、最適化を進めて要求水準を引き下げる努力をしているとのことですので、それに期待したいところです。現時点では、スマートZoi推奨レベルのPCで25万円オーバーからという感じです。


【関連記事】スマートZoiを利用するための必要動作環境について(inZOI)

とはいえ、先日発売された「モンスターハンターワイルズ」を見ても分かる通り、高グラフィックで楽しむ場合の要求水準がどんどん高くなっているのは確かです。

GPUメーカーにしろゲーム会社にしろ、買ってくれる人がいなくなるほどの水準にはしないので、際限なく上がるということはないでしょうが、利用者側としては悩ましい問題ではあります。

まとめ

リアルなライフシム「inZOI」のレビューでした。早期アクセスでも初期の段階ということで、細かな挙動が気になる部分はありますし、十分に実装しきれていないと思われる要素もあります。

とはいえ、現時点でもかなり高い仕上がりのゲームになっていますので、要求スペックの高さはありますが、環境さえ許せばプレイしてみて欲しいゲームのひとつです。

メジャーなジャンルではない分、どうしても人を選ぶ部分はあるとは思うのですが、作中に明確なストーリーがなくても自分で想像して楽しめるタイプの人などは、ぜひ遊んでほしいなと思います。

PCゲーム

Posted by hiro