クリントン氏もテレビも新聞も、偉そうだから嫌われた
2016年のアメリカ大統領選挙は、当初泡沫候補扱いされたトランプ氏が勝利を収めました。
敗れたのはクリントン氏ですが、メディアを始めとする「偉そうな人たち」が敗れた選挙だったと言えます。
メディアの影響力低下
テレビや新聞といえば、かつてはその世論形成を大きくリードしてきました。こちらNHKの報道になるのですが、今回の大統領選挙において、アメリカのメディアは圧倒的にクリントン支持でした。
アメリカの有力紙のうち、民主党のクリントン候補を支持しているのは57社に上るのに対し、共和党のトランプ候補を支持しているのはわずか2社という異例の状況になっています。(NHK)
しかし、結果はご覧の通り。メディアはその影響力の低下を白日のもとにさらしてしまったのです。
本来メディアは権力の監視役であり、庶民の側にあるはずのものです。しかし、ときに必要な事実を隠し、誤りをなかなか認めないその姿勢は、日本でもたびたび非難にさらされています。
最近でも、レコード大賞の買収疑惑は濃厚な証拠が出ているにも関わらず、一切報じませんよね。同じ文春スクープでも、ベッキーさんの不倫騒動は疑惑の段階で喜んで報道したのに。
日本でもネットを中心に高まりつつあるメディア不信は、アメリカ同様政治の世界にまで影響を及ぼすのでしょうか。
あてにならない「世論」
続いては支持率調査の大外れ。前日までの世論調査では、クリントン氏がおおむね3%以上のリードを保っていました。しかし、実際には世論調査に表れなかった人たちの票がトランプ氏にぐっと流れたのです。
もちろん、トランプ氏の支持を表明することで嫌がらせを受ける可能性があるという要因があったため、トランプ支持を表明しづらかったということはあるでしょう。
6月に行われたイギリスのEU離脱国民投票においても、世論調査で優勢であった残留派が敗れました。これまでのやり方が通用しなくなっている現状はありそうです。
理想論を掲げる前に
この期に及んでも、まだメディアは庶民の味方のつもりでいるのかもしれません。ただ、庶民は分かっているのです。彼らが高い給料をもらって安定した生活を送っていることを。
「差別主義者のトランプが当選するわけがない」。メディアはそう思っていたのでしょうが、庶民にとって大切なのは、明日も無事に生きていけるかなんですよね。メディアは庶民の不満を汲み取れていなかったのです。一方でトランプ氏はそれを理解していました。
格差の是正こそ平和への近道。そう思わざるを得ません。