「ソシャゲ離れ」の原因はシステムへの飽き?2019年のスマホゲームの動向から国内大手ソシャゲメーカー低迷の理由を考える
「マネーポスト」に掲載された記事をきっかけに、「ソシャゲ離れ」というワードがSNSを賑わせました。
ソシャゲとは「ソーシャルゲーム」の略で、「ガチャがある長期運営型の携帯端末向け基本無料ゲーム」という意味合いで使用されます。
徐々に進む「ソシャゲ離れ」、引退を決意したユーザーたちの声(マネーポスト)
ソシャゲメーカー各社の決算状況について触れられており、あわせてソシャゲを引退した人のコメントも紹介されています。
その中でソシャゲ離れの原因として挙げられているのが、「お金や時間の浪費に気づいた」という内容です。もちろんそれは大きな要因の一つでしょう。
ただそうした個々の要因に加えて、全体としてソシャゲの存在自体が飽きられつつあるというのが私の考えです。
2019年のスマホゲーム界隈を振り返りつつ、国内ソシャゲ企業が苦戦する現状を考察します。
スマホゲーム市場はまだ縮小していない
国内ソシャゲ企業が苦戦していると言われると、スマホゲーム自体が急速に支持を失っているのかと思われる方もいらっしゃることでしょう。
しかしそうではありません。スマホゲームの市場規模自体は、頭打ち傾向を示しながらも小さくなっているわけではないのです。
スマホゲーム市場、8.9%増の1兆290億円に拡大、30代・40代の平均課金額は月4,324円(MONEYGINE)
ただしこちらの調査では、2018年と2019年の数値は予測となっています。記事でも指摘されているように、市場が急速に成熟しつつある昨今の状況を鑑みると、予測が外れて減少傾向に転じている可能性もあります。
とはいえ、国内ソシャゲ企業の決算の数字からイメージするほどの縮小はありません。
国内大手が低迷したのはなぜ?
ヒット作は出た。ただマンネリ感は否めない
2019年のスマホゲームを振り返ってみると、前年にバトルロイヤルが流行った時のような大きな動きはありませんでした。
「オートチェス」は「第二のバトロワ」的な雰囲気もありましたが、覚えることの多さがスマホゲームのユーザー層とマッチしなかったのか、類似アプリの乱立もあって2019年後半は失速しました。
今年リリースされた国産スマホタイトルで強かったのは、「マリオカートツアー」「ドラゴンクエストウォーク」あたりでしょうか。
いずれもガチャのあるゲームではありましたが、「マリオカートツアー」は手軽にできるマリオカートとして受け入れられ、「ドラゴンクエストウォーク」はドラクエらしいRPG感と位置ゲームの融合が評価されました。
ただそれ以外となると、どこかで見たような作品ばかり。
- ゲーム内容より声優陣をアピール
- (エフェクトだけ)爽快なアクション
- (ポチポチするだけだから)初心者でも安心
- 露出度の高い女性キャラクターで釣る
- ガチャを引かせるためにコラボ連発
こんな状況が何年も続けば、ソシャゲに興味を持ってくれと言われても無理な話でしょう。
中小メーカーや海外勢の参入で消耗戦に
大手がリリースを厳選する傾向にあるのに対し、あまり名前を聞かない中小メーカーや、中国系メーカーのリリースが増えたのも印象的でした。
いろんな企業が参戦するのは、一見よい傾向のようにも見えますが、そうとは言い切れません。
昨今のスマホゲームは、開発費・運営費が肥大化しているとも言われています。ライバルが増えることで利益が削られる消耗戦に突入したという見方ができるのです。
それ以外では、家庭用ゲームが本業の任天堂が本格参入したこと、「荒野行動」「ポケモンGO」「アズールレーン」など海外製ビッグタイトルが手堅くシェアを獲得していることも、国内ソシャゲ企業の利益を圧迫する原因となっています。
【終わりに】2020年こそガチャ離れは実現するのか
2019年のゲーム業界を賑わせたワードに、「ゲームストリーミング」(クラウドゲーミング)があります。
ゲームソフトをダウンロード、あるいはソフトを購入することなく、常時サーバーとデータをやり取りして楽しむ方式で、端末の性能に依存しないことが最大のメリットとされています。
Googleのstadiaが11月にサービスをスタートし、各社も着々と準備を整えています。通信面など課題は少なくはなく、すぐに全面移行することはないでしょうが、「一つの未来」として期待感が高まっているのは事実です。
2020年末にはPS5やXbox次世代機の発売が予定される中で、「ゲーム性のあるゲーム」を求めるユーザーも増えていくことでしょう。
手軽さということであれば、Nintendo Switch Liteも着実に売上を伸ばしています。
ソシャゲ(というよりガチャ)は確かに、一時期効率よく稼ぐ手段の一つでした。しかしどんなブームにもトレンドはあります。
ガチャに代わる新しい流れが、2020年こそ日本から出てくることを期待し、記事を締めたいと思います。