ソシャゲの事前登録者数=注目度ではない。数字が当てにならない簡単な理由を解説
ソーシャルゲームのリリース時に、「事前登録者数が○万人を突破!」なんてウリ文句を見ることがあります。
しかしその人数の割に認知度は高くなかったりして、「本当に効果があるのかな?」と疑問に思うこともあります。
とはいえこの方法が続いているのは、少なくともアプリのパブリッシャー(配信者)はなんらかのメリットがあると判断しているからでしょう。
パブリッシャーにおける事前登録のメリットや手法の変化、事前登録者数を増やす簡単なからくりを紹介します。
事前登録者数を増やすメリットとは?
まずはパブリッシャーの視点から、事前登録者数を増やすメリットを考えてみましょう。
いくつかのアプリ紹介サイトでは、事前登録者数をランキング形式で紹介しているところもあります。そこで上位になれば、閲覧者の注目を集めやすい側面はあるでしょう。
さらには、キリのいい人数ごとにプレスリリースを出せば、いくつかのメディアはそれを取り上げてくれます。ゲームメディアなんて、その数字がどうやって作られているか知っているはずなんですけどね。
株価対策や社内対策の面もあるかもしれません。どんな手法であれ、数字が大きいだけで評価してくれる人がいますから。
事前登録者数を集めるのは2015年以降難しい状況に
それなりの効果があると思われる事前登録ですが、ゲーム内容は直前まで公開されないことが多く、ゲーム自体への期待感をもとに事前登録者数を集めるのは難しいことです。
そこで使われるのが、報酬をエサに事前登録者数を増やす手法です。
一昔前まで、ソシャゲの事前登録キャンペーンは、所定のフォームから登録した人だけにゲーム内アイテムを配布する方式が一般的でした。
この方法が採用されていた頃は、「遊ぶかどうか分からなくてもとりあえず登録しておこう」と考える人を集めることができました。
しかし2015年、Appstoreにおいてゲーム内報酬を引き換えにした事前登録への規制が始まりました。
消える予約特典。Apple、事前登録も取り締まり開始か。(gamecast)
同時期にはアプリダウンロードで報酬を配布する外部サイト・アプリも規制したApple。この対応は、ランキングの公正さを保つためのものと言われています。
そのため現在では、GooglePlayも含めて「一定期間内にゲームを始めたすべてのプレイヤー」に報酬を配布する方式が主流になっています。
報酬を受け取るために事前登録をする必要はなくなり、ユーザーが事前登録をするメリットは、大きくそがれることになりました。
現在の事前登録システムも問題だらけ
この出来事をきっかけに、現在のような事前登録の方式が一般的になります。
しかしその手法を見ると、事前登録者数がゲームへの期待値を反映したものとは言い難いものとなっている実態が見えてきます。
一例を紹介しましょう。
登録方法別の数値を合算している
事前登録を行うほとんどのパブリッシャーが採用しているのが、公式Twitterのフォローを事前登録とみなす方式です。
AppstoreやGooglePlay公式の事前登録機能を利用しているところも多いですね。(もちろん報酬はない。)
メールアドレスもありますし、日本のパブリッシャーだとこれに公式LINEが加わることもあります。
「多様なフォームを用意するのはユーザーのため」ではありません。むしろパブリッシャーにメリットがある手法です。
なぜなら、これらの事前登録は1人で複数箇所での事前登録が可能であり、重複登録を防止することはできません。
パブリッシャーから発表される事前登録者数は、それぞれの方法で事前登録をした人の合計値。重複する登録者が含まれているのです。
そもそもの話が、メールアドレスの登録者数なんてパブリッシャーにしか分からないですから、正確な数字が発表されている保証はどこにもありません。
豪華賞品で釣る
これも多くのパブリッシャーが採用している方法で、「Twitterをフォロー&特定のツイートをRTで○○をプレゼント!」キャンペーンです。
プレゼントはAmazonギフト券であったり声優さんの色紙であったりいろいろですが、簡単に応募できますので、たくさんの人が参加します。
作品を認知してもらう手段として効果的であるのと同時に、公式Twitterをフォローさせることで、応募者の意図に関係なく事前登録者としてカウントします。
こうしたキャンペーンをLINEやメールアドレスでも並行して実施しているケースもあり、実際の期待値以上に事前登録者数がかさ増しされることになります。
【終わり】ゲーム内容での勝負を期待したい
言うまでもなく、大切なのは事前登録者数ではなくゲームの中身です。しかしパブリッシャーからすれば、まずアプリを認知してもらうことが大切なのでしょう。
近年はリリースされるアプリの数も多くなり、スタートダッシュに失敗すると埋もれてしまうリスクが高まっています。
「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)や「モンスターストライク」(モンスト)は、メディアや動画クリエイター、口コミなどを通してゲームの面白さが伝わり、爆発的なヒットにつながったのですが、時代は変わっています。
2020年もこの状況は続いていくのでしょうか。ゲーム内容で興味をもたせるスマホアプリが増えることを期待したいところです。