「フォートナイト」がスマホアプリストアから排除。あえて独自課金システムを導入しストア手数料に物申す

2020年8月15日

人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」が、AppStore、GooglePlayStoreから削除されました。

フォートナイトの運営会社であるEpicGamesによると、ストアを介さない課金システムを導入したことが削除の理由だとしています。

ストアからの削除により、迂回ダウンロードが不可能なiOSではアップデートを適用できないため、新シーズンのプレイが不可能になります。

なぜEpicGamesは、削除覚悟で独自の課金システムを導入したのか、独占市場がもたらす弊害も含めて解説します。

スマホアプリストアへの挑戦状

今回の措置のきっかけとなったのが、フォートナイトで導入された新しい課金システムです。

単純に「お得な施策だなあ」という話ではなく、「ストアの高すぎる手数料がなければ、これくらい安く購入することができるんだよ」というユーザーへの問題提起を含んでいることは、ツイート先の記載からも分かります。

ストア手数料3割は妥当なのか

ストアを介さない課金については、たびたび議論になる話です。先日終了を発表したLINEクイックゲームも、iOS版において独自の課金システムの採用に失敗していました。

【関連記事】LINE、ゲーム配信の停止延長 アップルの審査で(日本経済新聞)

同じく終了を発表しているヤフーゲームプラスなど、各社が定期的にブラウザゲームでのゲーム提供を模索するのも、ストアの取り分が3割という利益配分を疑問視しているからとされています。

ちなみにこの3割という水準はいつのころからか業界標準となっており、ニンテンドーeショップやPSStore、Steamでも同水準だと言われています。

フォートナイトの運営会社であるEpicGamesはPCゲームストアも運営しており、こちらはストアの取り分を12%にしたり、独占配信の代わりに多額の資金を提供したりして、一強状態にあるSteamに対抗しています。

各社がストアの取り分が多すぎることに不満を抱えつつ、スマホOSの圧倒的な2強であるAppleとGoogleが提供するストアに対抗する存在を作り出すことは事実上不可能な状況もあって、それを受け入れざるを得ない状況となっています。

フォートナイトの場合は、スマホに限らずPC、ゲーム機などマルチに展開しており、売上も好調です。仮にスマホストアから一時的に締め出されることになっても問題ないとの判断が働いたのでしょう。

ちなみにAndroid版に関しては、ストアを介さずアプリを提供することができますので、多少めんどくさくはなるものの、インストールやアップデートの対応は可能です。

独占市場が法律で規制される理由。将来はGAFAも分割?

アメリカ議会では今、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの総称)といったIT系プラットフォーマーが市場において独占的な地位を保ち競争を阻害しているのではないかとして、会社分割を含めた議論が進行しています。

一般論として、同業他社が対抗できないほど圧倒的なシェアを一部の会社が獲得してしまえば、価格設定も思うがままとなり、ユーザーにとって不利益な状況が生まれやすくなります。

またそれらの会社が、自身の優位を脅かすような技術を持つ企業を資金力をもって買収し、その技術の成長を阻害してしまえば、一般市民から見ればマイナスとなるでしょう。

それぞれの市場が数社で独占されているケースは決して珍しい話ではありませんが、独占のための取り組みやその後の振る舞いがあからさまである場合、それは問題視されます。

「企業努力の結果だ」という意見もあるでしょうが、各国が日本の独占禁止法にあたる法律を制定していることからも分かるように、社会全体の利益が大きくなるようにすべきというのが現代経済の基本的な考え方となっています。

スマホアプリ市場もそのようになっているのではないかというのがEpicGamesの主張であり、「Amazonなどのネットショッピングアプリでは直接の支払いが認められているのに、ゲームで認められていない。」ことも独占企業による恣意的な対応の一つとして挙げています。

【関連記事】FORTNITE MEGA DROP PRESS FAQ(EpicGames)

「フォートナイト問題」をGAFA分割をも検討するアメリカ政府が利用する展開になれば、話はさらに大きく広がっていくことでしょう。

(追記:8月14日14時)
AppleやGoogleの規約では、アプリの外部で使用する商品やサービスの購入については直接の支払いが認められています。ゲームでも認めるべきだというのがEpicGamesの主張です。

【終わりに】自分の身近にもある問題として

「中抜きが多すぎて、利益が作り手・労働者に適切に還元されていない」という問題提起は、アプリ、ゲームに限らずあらゆる市場でたびたび起こります。

努力に見合う対価が与えられるのは当然のことですが、弱い立場にあるものほどそれがおろそかになりがちです。

「フォートナイトをプレイしていないから関係ない」ではなくて、自分の身近にもある話として、この問題を見ていく必要があるでしょう。