イオンがポケGO撤退へ。リリース時とは大きく変わったプレイ環境が一因か

ショッピングモールを運営するイオンは、2021年2月28日をもって位置情報ゲーム「ポケモンGO」とのコラボレーションを終了することを発表しました。

ポケモンGOとのコラボレーション終了について(イオン)

イオンに設置されている(ゲーム内)ポケストップやジムは、同日をもって撤去されることになります。

このニュースを伝えたITmediaのヤフーニュース版に「専門家」のコメントがついていますが、実際にプレイし続けている自分からすると「間違ってないけど、これじゃ分析甘いよな」と思ってしまったので、記事にすることにしました。

イオン、ポケモンGOから撤退 2月末にすべてのジム消去(ITmedia,ヤフーニュース版)

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イオンはプレイヤーが集まる場所として機能しやすかった

ポケモンGOのプレイヤーにとって、多くの人が集まることで有利になる要素といえば、ジムで行われるレイドバトルです。

レイドバトルとは、ジムに出現するポケモンを、一定の時間内に近くに集まった人と協力して倒す要素です。「伝説」と呼ばれるポケモンなどは一人で倒すことがまず困難ですので、倒してゲットするためには複数人での協力が必須となります。

ポケモンGOにおける地域格差はリリース当初から言われていたことですが、特にレイドバトルにおいてはそれが顕著。地方部に置かれているジムでは、立地が悪ければ伝説のポケモンのレイドバトルが始まっても人なんて集まりません。

そうなると地方民は、「人が集まりそうなところ」を求めて移動します。大型ショッピングモールのイオンはその場所として最適でした。スペースも広く暇つぶしもできる。

ファン層に大人が多いのも幸いしました。家族でイオンを訪れ、子どもたちはゲーセンや買い物、親たちはポケモンGOなんてケースもあったことでしょう。

イオンにとっても、よい集客手段として機能していたのではないでしょうか。だからこそ、リリースから5年半もの間、スポンサー料を払ってでも関係を維持してきたのだと思います。

プレイヤー目線で考える、イオン-ポケGOコラボが終わった3つの理由

一見Win-Winに見えたこの関係が終わりを迎えた背景にはなにがあったのでしょうか。

一般的には「年月の経過による人気の落ち着き」が思いつくところですが、ある調査によると、ポケモンGOの売上は2019年、2020年と過去最高を更新し続けています。

『ポケモンGO』が過去最高の年間売上10億ドル(約1043億円)を記録 コロナ禍の中、残り2ヶ月を残して【Sensor Tower調査】(Social Game Info)

そうなると、「専門家」分析のようにイオン側の事情かと思いますが、プレイヤーなら他に思い当たることがあるのではないでしょうか。

経営環境の悪化

日本ショッピングセンター協会の統計によると、2020年は全期間において10%を超える売上の減少を記録しました。必ずしもイオン単独のデータではありませんが、同様の傾向が出ていると予想されます。

販売統計(日本ショッピングセンター協会)

スポンサー料の支払いについて、厳しい判断をせざるを得ない状況になったことは想像するに難くはありません。

「専門家」が分析していたように、密になる状況は避けるべきだという判断がなされた可能性もあるでしょう。(もっとも、フードコートやゲームセンターは常に密になっている気もしますけど。)

リモートレイドパスの導入

イオン側の事情だけではなく、ポケモンGOのレイドバトルが、新型コロナウイルスの流行を受けて仕様変更していることを忘れてはいけません。

ジムへのアクセス可能距離を広げたことに加え、より大きな影響を与えたのが、「リモートレイドパス」の実装だと思われます。

それまで、レイドバトルに挑戦するにはジムの近く(現在は半径100m程度)まで移動して参加する必要がありました。

しかし、リモートレイドパスがあれば、半径1km弱のジムで行われるレイドバトルに参加することができます。

地方であってもそこそこ人がいるエリアであればもはや、「レイドバトルを求めてイオンへ」なんて行動は取る必要はないのです。

もちろん、無料でもらえるリモートレイドパスには限りがありますし、「何匹も捕まえて厳選したい」「色違いがほしい」など何度も挑戦したい方は今まで通りジムに出向くのがベストではあります。

とはいえ、図鑑が埋まれば十分といった程度の距離感で楽しんでいる多くのプレイヤーにしてみれば、リモートレイドパスで事足りるんですよね。

コロナ禍においてはやむを得ない仕様変更とはいえ、結果的にイオンなど実店舗への誘客効果は低下することになります。

ポケストップ・ジムの増加

そしてもうひとつ忘れてはいけない変化が、リリース当初と比べてポケストップの数が増えていることです。

ポケストップやジムの設置は、同じNianticが運営するアプリ「Ingress」プレイヤーが申請したポータル、スポンサー、自治体コラボで設置したものなどに限られていました。

この1~2年で、主にIngress経由で各地にポケストップやジムが設置されたほか、2020年11月以降は日本でもポケモンGOからの直接申請が可能になり、その数はさらに増えていると予想されます。

私の環境でも、半径500m程度の範囲に新たに3つのポケストップ・ジムが設置され、プレイ環境はかなり快適になりました。(その代わり、マクドナルドがなくなりましたが。)

イオンがあるようなエリアであればそこそこ人もいるでしょうし、イオンに行かずとも、より自宅に近い場所にポケストップやジムが設置されるケースが増えてきたのではないでしょうか。

ポケモンGOのためにイオンに出向く必要性は、そうした観点からも薄れつつあったのではないかと予想されます。

【最後に】イオンさん、ありがとう!

ポケモンGOとのコラボレーション解消について、イオンは明確な理由を話しているわけではありません。

ですので、私が今回書いたことも「専門家」がヤフーニュースのコメント欄で述べたことも、正確な事実はどうかは分かりません。

ただ今回気付かされたのは、物事の深いところまで理解しようと思えば、参考にするのは「専門家」だけでは足りなくて、実際に長く接している人の意見も大切にしないといけないということです。

私はたまたまポケモンGOをプレイしていたから「専門家」の意見に不十分さを感じたのですが、そうでなければ「専門家」の意見に納得して受け入れていたことでしょう。

最後になりますが、ポケモンGOをリリースから支えてくれたイオンには感謝しかありません。ときには迷惑なプレイヤーに苦労したこともあったでしょうが、本当にありがとうございました。

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