SIEジャパンスタジオが事実上の閉鎖へ。欧米向け作品を重視するSIEと方向性がずれたとの報道も

2021年3月17日

ソニーインタラクティブエンタテインメントにおいて、PlayStation初期の名作「パラッパラッパー」「サルゲッチュ」「デモンズソウル」など数々の名作を手掛けてきた「SIE JAPAN Studio」が、「Team ASOBI」に編入されることが明らかになりました。事実上の閉鎖でしょう。

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さらには、丁寧さが売りだったローカライズ、IPマネージメントなどの権限もグローバル部門に移されることになり、SIEの日本離れはいよいよ隠しようのないものになってきました。


ASTRO’s PLAYROOM(PlayStation)

Team ASOBIとジャパンスタジオの新展開をファミ通のインタビューで示唆

このニュースを聞いて私が思い出したのが、数日前にファミ通に掲載された、「日本市場は重視している」発言でおなじみのCEO、ジム・ライアン氏のインタビューです。

改めて読み返してみると、この流れを示唆していたのではないかと思えるのです。

該当箇所を引用します。PS5の現状や新型PSVRについて一通り語った後、話はジャパンスタジオへと移ります。

――ちなみに、いまのところライアンさんがPS5のゲームで、個人的にもっとも気に入っているタイトルは何ですか?

ライアン:プリインストールされている『ASTRO’s PLAYROOM』ですね。本当にファンタスティックなゲームだと思います。私は初代のころからプレイステーションの事業に関わっていることもあり、歴代プレイステーションを思い出させてくれる隠し要素が本当に楽しくて(笑)。

――まさに『ASTRO’s PLAYROOM』を開発したTeam ASOBIがそうですが、日本のゲームファンとしてはJAPAN Studioのさらなる新作を期待する声も多いと思います。何か新作の情報はありませんか?

ライアン:現時点ではコメントできることはありません。ただ、Team ASOBIが手掛けた『ASTRO’s PLAYROOM』については本当にデキがよかったですね。これについてはまた後日お話できることがあると思います。
引用:ファミ通

ジャパンスタジオの情報を求めるインタビュアーに対し、なぜかライアン氏はTeam ASOBIを再び持ち上げ、さらには「これについてはまた後日お話できることがある」と意味深な発言をしています。

ジャパンスタジオがTeam ASOBIに編入されると分かった今となっては、この流れを示唆していたのだろうと思わざるを得ません。

著名クリエイターの離脱が続いていた

ジャパンスタジオをめぐっては、昨年より著名クリエイター陣の離脱が相次いでいました。ざっと挙げるだけでも

  • 「SIREN」「GRAVITY DAZE」シリーズの外山圭一郎氏
  • 「Bloodborne」「Demon’s Souls」などに携わった鳥山晃之氏
  • 「Bloodborne」のプロデューサーを務めた山際眞晃氏

などの離脱が明らかになっており、多くのファンがジャパンスタジオの先行きを心配する事態となっていました。外山圭一郎氏は「gameindustry.biz」に連載するコラムの中で、SIEの本社がアメリカに移り組織的に大きな変化があったと述べています。

今回の件を最初に報じた「VGC」は、「グローバルでもウケる日本市場向けのゲームを作りたいジャパンスタジオと、グローバルなヒット(つまりは欧米向け)を重視するSIE本体の意見対立があった。」としていますが、真相は不明です。仮にそれが真実だとしても、SIEが認めるわけがないですしね。

ジャパンスタジオの作品一覧を見ても、近年は発売される作品の減少が目立っていました。SIEが欧米重視の路線に舵を切る中で、社内における存在感は低下していたのでしょう。

引用:SIE ジャパンスタジオ

【終わりに】寂しいけど悲観的ではない

PlayStationの歴史を初期から知るものとして、ジャパンスタジオの事実上の閉鎖は寂しいニュースです。とはいえ、ゲーマーとしてみたときに決してネガティブなニュースではありません。

もしジャパンスタジオにいることが著名クリエイターの活躍を妨げていたのであれば、そこから離脱して新しい環境でゲームづくりができるようになることは、むしろよいことではないでしょうか。

一デベロッパーとして今後もPlayStationと関わる方もいらっしゃるでしょうし、Nintendo Switchなど別のプラットフォームに活躍の場を求める方もいらっしゃることでしょう。

ゲームを作ることができなければ、評価されるとかされないとか以前の話ですから、それはクリエイターとしても不本意でしょう。

体制が強化される「Team ASOBI」には今後も期待したいですし、SIEから離れるクリエイターのみなさんの活躍も期待したいと思います。