【レピュー】「プロミス・マスコットエージェンシー」。田舎町の探索や事務所経営が楽しい、ヤクザのマスコット事務所経営物語
2025年4月10日に発売された「プロミス・マスコット・エージェンシー」。対応機種は、Nintendo Switch、PC(Steam/Epic Games Store)、PlayStation5、Xbox Series X|Sです。日本語対応。
「パラダイスキラー」で知られるイギリスのスタジオ「Kaizen Game Works」の作品で、日本の寂れた田舎町を舞台に、ヤクザがマスコット事務所を経営するアドベンチャーゲームです。
この記事ではプレイレビューを掲載していますが、最初に本作をざっくり評価するのであれば、「龍が如く」内のサブゲーム「一番製菓」や「ドンドコ島」にハマった人ならきっと楽しめるゲームだろうということです。
なお、本作はコントローラー推奨のゲームです。コントローラーがないとプレイできないわけではありませんが、PC版をプレイする人は念のため知っておいてください。
借金抱えたヤクザがマスコット事務所経営
「プロミス・マスコット・エージェンシー」の主人公は、菅原道真ことミチ。歴史上の人物と同じ名前なのは、おそらく偶然でしょう。
ミチは九州のヤクザで、大きな取引に失敗し、組に大きな損害を与えてしまった結果、死んだことにされて「過疎町」に送り込まれ、マスコット事務所を経営することになります。
ミチは、相棒のマスコット「ピンキー☆」などとともに、組に与えた損害を挽回するため奮闘しつつ、過疎町を覆う闇に迫っていくといった内容です。
ミチのボイスを担当するのは、龍が如くの桐生一馬役でおなじみの黒田崇矢さん。龍が如くをプレイしたことがある人なら、ふと桐生一馬の姿がよぎってしまうことでしょう。人情に厚いこと、死んだことにされていることも、なんだかダブってしまいます。
マスコットを派遣しつつオープンワールド探索
ゲームの基本的な流れとしては、町の人々からマスコットの派遣依頼を受け、事務所にいるマスコットの中から依頼内容にあったマスコットを派遣し、報酬を受け取ってお金を貯めていきます。
派遣先ではトラブルが発生することもあります。そんなときは、マスコットに解決を任せてもいいですが、プレイヤー(所長)が介入するとバトル形式のトラブル解決シーンに移行します。
町でスカウトするなどして集めた「お助けヒーロー」のカードを使い、時間と制限回数内に相手のHPを削りきれば無事解決。失敗すると、受け取る報酬が減らされてしまいます。
マスコットも無制限に派遣できるわけではありません。体力が設定されているため休憩が必要ですし、契約によっては強制的な休暇に入ることもあります。マスコットを増やして多くの依頼をこなすことはもちろん、事務所を強化してお金を増やしやすくしたり、さまざまなクエストをこなしてベースのステータスを上げ、失敗しづらくすることも大切です。
オープンワールドで描かれる過疎町を移動するのは、ミチ愛用の軽トラです。軽トラであちこちを散策しながら、ストーリーを進めたり、マスコットやヒーロー、依頼を集めたり、クエストを攻略したりと、やることはたくさんあります。
過疎町の住民やマスコットはみんな個性豊かでとてもおしゃべり。足を踏み入れたヤクザは祟られて死んでしまうといういわくつきのこの町で、ミチはマスコット事務所の経営を軌道に乗せ、損失を挽回できるのでしょうか。
探索がしっかり楽しく、日本の捉え方が面白い
本作は、ストーリー主体でありながらも、探索要素やマスコット派遣クエストをしっかり遊ばせてくれる作品だと感じました。
移動できる範囲はかなり広いですし、ストーリーや依頼に関わる移動だけではなく、看板破壊や神社掃除、アイテム収集などが各所に散りばめられており、それらをこなすことでさまざまなバフがかかっていくため、あちこち回ることにしっかり意味が与えられている点がよかったです。
一例として、イベントのトラブル解決ではお助けヒーローの力を借りますが、ヒーローには得意分野が設定されているため、さまざまなヒーローを集めておくことが大切になります。また、ヒーローの依頼を解決することでヒーローのレア度がアップし、ヒーローが強化されてイベントが成功しやすくなるといった具合です。
私は「龍が如く」を何作品かプレイしたことがありますが、重厚なストーリーはもちろんのこと、「7」の一番製菓のような、派手なバトルはないけど妙に気合の入ったサブゲームが大好きなんですよね。
本作は、そんなサブゲームを拡張してひとつのゲームとして遊べるようにしたかのような雰囲気があり、個人的には大変満足しています。
日本の田舎町の描写も素晴らしく、各地にありそうな寂れた感じの町並みをよく再現していますし、マスコットたちが普通に生のあるものとして暮らしているのも、マスコット文化が深く根付いた日本らしさを感じさせてくれます。
ただ美しいだけではない日本の描き方は、日本人クリエイターが開発に参加している影響もあるのでしょう。
終わりに
「プロミス・マスコット・エージェンシー」は、ヤクザものでありながらガチガチのバトルはなく、そこまで身構えることなく遊ぶことができます。
そんな中でも、ストーリーはしっかりしていますし、オープンワールドの探索や経営シミュレーション的な要素もよく作られていて、つい長時間遊んでしまうタイプの作品です。