有料DLCはもはや当たり前に。受け入れられるものとそうでないものの差とは?
最近はゲーム機やPCのソフトでも、有料のダウンロードコンテンツ(DLC)を配信する例は少なくありません。
有料DLCに関してはいろいろな意見がありますが、私なりの意見をまとめておこうと思い立ちました。
本編のクオリティが十分であれば容認されやすい
何が何でも有料DLCは嫌だと言う人もいるでしょうが、多くの人が有料DLCを肯定するかどうかのラインは、「本編が十分に満足できるクオリティにあるか」でしょう。
有料DLCなしでストーリーがしっかり完結しているか。プレイアブルキャラクターの数やステージ数などのボリュームが価格に見合っているか。
これらを満たしていれば、有料DLCはゲームをより充実させるコンテンツとして受け入れられやすいでしょう。
例えば「大乱闘スマッシュブラザーズスペシャル(スマブラSP)」では、発売後に5体のキャラクターなどが有料DLCとして配信されます。
ただこれを購入しなかったとしても、本編だけで74体のキャラクターが揃っていますから、ボリュームとしては十分でしょう。
信長の野望や三國志シリーズのパワーアップキットの事例
その一方で、決して評判は良くないながらも、有料DLCの形態を長年続けている作品もあります。それがコーエー(現コーエーテクモゲームス)の「信長の野望」「三國志」シリーズです。
これらのシリーズでは、通常版を発売した後にいくつかの機能を追加した「パワーアップキット」を発売するのが通例になっています。今は追加分だけを有料DLCとして配信していますが、それがなかった時代はパッケージで販売していました。
先ほどお話した例に倣えば、パワーアップキットはあくまで「機能の拡張」であるべきなのですが、これらのシリーズに関しては通常版のクオリティ不足を補うものになっているとの指摘も少なくはありません。
「通常版は人柱」なんて意見も飛び交う始末ですが、それでもこのシリーズが続くのはなぜでしょうか。
一番の理由は、このジャンルにライバルが少ないことに尽きます。戦国時代、三国時代を舞台にした軍事シミュレーションって、ほかにはインディーズレベルでしか見当たりません。
そもそもRPGやアクションと比べてこのジャンルが好きという人は少ないですし、シミュレーションの中でも、ストーリーのあるシミュレーションRPGのほうが人気ありますしね。
DLCにはさまざまなメリットがある
有料DLCに関しては、「最初から全部本編に入れればいい」という議論もあります。しかしそれはベストではないと考えます。
価格を抑える
すべての要素を本編に盛り込んだ場合、当然価格は高くなるでしょう。
ゲームのプレイスタイルは人それぞれで、メインストーリーだけやれば十分という人もいれば、すべての要素をこなさないと気がすまないという人もいます。
メインストーリーだけで十分と考える人にとって、全部盛りで価格が高くなってしまうと、それだけで購入を控える原因になってしまいます。
例えて言うなら、普通のカレーのほうが好きなのに、割高なカツカレーしかないのでその店で食べるのを戸惑ってしまうような状態です。
また全部盛りで高価格ソフトを購入したとして、それに満足できる保証はありません。価格が高ければ高いほど、残念な作品だったときのがっかり感は大きなものとなるでしょう。
そう考えれば、本編を十分に楽しみ、さらに追加要素を楽しみたいと考える人だけが有料DLCを購入するのは、双方にとって好ましいことだと思います。
本編開発期間の短縮
あらゆる要素を本編に入れ込んだ場合、当然ながら開発期間は長くなります。メーカーにとって開発期間の長期化は好ましいことではありません。
発売するまでは収益ゼロですし、なにより多くのスタッフを長期間拘束することで、別のプロジェクトに割く人員が足りなくなってしまいます。
また他社から同じジャンルでより評価される作品が先に出てしまった場合、売上にも大きな影響を及ぼすでしょう。
まず一定のクオリティで本編を制作、発売しておき、より小規模の体制で追加コンテンツに取り掛かれば、制作にかかる負担を分散することができます。
【終わりに】多くの人が満足しているからこその現状
もちろん今でも「有料DLC絶対悪」という考えの人もいますし、まとめサイトがPV稼ぎで過剰に煽ることもあります。(褒めるより批判のほうが稼ぎやすいですからね。)
しかし多くのソフトで有料DLCが採用されている状況を考えれば、全体とすれば受け入れられつつあるのは間違いないでしょう。
スマートフォンアプリで、基本無料の長期運営型ゲームが一般的になっていることも、ゲーマーの意識に変化を与えているのではないでしょうか。
結構前の話になりますが、とあるゲーム会社は、本編ストーリーを有料DLCで補うような対応をしたことがあり、激しい批判の対象となりました。
結局ゲームソフトの評価は、「最初に商品として発売された時点で十分に満足できるクオリティかどうか」ってことなんですよね。
それさえ満たされていれば、有料DLCがあろうがなかろうが、評価に大した影響はないんだと思います。