「ハリー・ポッター:魔法同盟」のメディア体験会記事から見えてきたこと。西洋の世界観とゲーム性の強さはどう作用するか(特に日本では)

2019年7月29日

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ポケモンGOやIngressでおなじみのNianticから、2019年にリリースされる予定のスマホゲーム「ハリー・ポッター:魔法同盟」。

第1弾トレーラーも発表されいよいよといった感じですが、メディア向けに開催された体験会において、その内容が少しずつ見えてきました。

メディアの報道内容をふまえて、現時点の情報から受ける率直な感想をまとめていきたいと思います。なお画像は各メディアの記事からご覧ください。

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ゲーム内容について

ストーリーがある


引用:ハリー・ポッター:魔法同盟公式サイト

Ingress、ポケモンGOでは、明確なストーリーはありませんでした。一方の本作はファンタジー作品をベースにしていることもあり、ストーリー性も大切にしているようです。

シリーズ7作目「ハリー・ポッターと死の秘宝」の後の時間軸で、「ハリー・ポッター」と「ファンタスティック・ビースト」の両方を含む「ハリー・ポッター魔法ワールドユニバース」が舞台だそうです。

マグルの世界(人間界)に現れた魔法の痕跡を回収するため、魔法使い(プレイヤー)がそれを回収するという設定になっています。

ただハリー・ポッターの世界観を使うだけではなく、ちゃんとストーリーも用意しているのは、ファンとしては安心できる部分かもしれません。

マップ上の施設は多め

ハリー・ポッターマップ
引用:ハリー・ポッター:魔法同盟公式公式ブログ(英語)

ポケモンGOでマップ上に表示されるのは、「ジム」「ポケストップ」の2種類です。あとは野生のポケモンが出現するくらい。一方の本作ではかなり種類が多く、

  • 宿屋:エネルギーを回復
  • 温室:素材を入手
  • 要塞:レイドバトルのようなものが発生する
  • 魔法の痕跡:バトルが発生することもある
  • 素材:タップで拾える

などがあるようです。

とはいえ固定の施設は「宿屋」「温室」「要塞」くらいと想像されますので、ポケモンGOと感触はそんなに変わらないのかなと思いました。

出現する素材や魔法の痕跡は、時間帯や月の満ち欠け、気候などによって変動するとのことで、このあたりはポケモンGOの要素に近いものがあります。

バトルに若干のアクション要素

ハリー・ポッター強敵
引用:ハリー・ポッター:魔法同盟公式公式ブログ(英語)

魔法の痕跡に遭遇すると、魔物の救出イベントや戦闘イベントが発生します。

ここで魔法を使うのですが、相手の攻撃を防いだり、あるいは画面をなぞって魔法を唱えたりします。

魔法を唱える際には正確に素早く唱えることで効果が高まるようです。

イベントをクリアすると魔法の痕跡が回収され、登録簿に記録されます。たくさん登録することでレベルが上がるほか、要塞に挑戦するためのアイテムが手に入ります。

ポケモンGOではモンスターボールを使いますが、その代わりがエネルギーといったところでしょうか。

1回のバトルでどの程度のエネルギーを消費するかは不明ですが、宿屋の多い地域のプレイヤーが有利になることは間違いなさそうです。これはもう、位置ゲームでは解決できない問題なのでしょうね。

育成するのは主人公自身

ポケモンGOではポケモンを鍛えていきますが、本作では主人公自身を魔法使いとして鍛えていく形になります。

プレイヤーにはステータスが設定されており、「スタミナ」「パワー」「ディフェンス」などのパラメーターを確認することができました。

プレイヤーは3つの職業、「闇祓い」「魔法動物学者」「魔法学校の教員」から1つを選択します。選んだ職業によってステータスの特徴が異なります。

またそれぞれの職業には「スキルツリー」が用意されており、育成にはある程度の自由度があるようです。職業はいつでも選び直すことができるそうです。

このあたりはポケモンGOと比べると、RPG要素を強くしている印象を受けます。自分が強くなっているという感覚を味わいたいという人には、いいシステムかもしれません。

移動キー

ハリー・ポッター移動キー
引用:ハリー・ポッター:魔法同盟公式公式ブログ(英語)

メディア体験会で公開されたものの、謎の多い要素がこの「移動キー(ポートキー)」です。

ARカメラを現実世界に向けると穴が開き、その先へと進むと360度に魔法世界が広がります。経験値などが獲得できるボーナス要素だそうです。

なんらかの条件を満たすことで使える要素なのでしょう。

チームはない

Ingressでは2つ、ポケモンGOでは3つのチームが用意されており、それぞれに争う要素がありました。

しかし本作にはチームはありません。マグル世界に現れた魔法の痕跡を消すために、みんなで協力することがテーマになっています。

ポケモンGOの場合はチーム分けをしてジムを奪い合いつつも、レイドバトルではみんなで協力して戦いますし、その点ではよくバランスが取れていると思います。

ジムを攻略するためにポケモンを鍛えることがモチベーションになっているプレイヤーも多いですよね。

ファミ通さんでは

危機に直面した魔法使いたちが陣営に分かれて争っていては道理が通らないという側面もあるかもしれない。しかし“陣営がないほうがうまくいく”ゲームデザインが準備できているから陣営を分けなかったと考えるほうが説得力が高いように思える。
引用:ファミ通

と解釈していますが、現時点ではそう考えるほどの材料も用意されていないので、これはプレイしてから判断することになりそうです。

現時点で思ったことを率直に書く

【感想1】魔物にハリーポッターらしさ(かわいくはない)

ハリー・ポッター魔物
引用:ハリー・ポッター:魔法同盟公式公式ブログ(英語)

魔法の痕跡との設定で現れる生き物や魔物たち。ハリー・ポッターシリーズではおなじみのキャラクターなんだそうです。

グラフィックを見ると、いかにも西洋ファンタジーという雰囲気があって、ポケモンにあるようなかわいさはありません。

ポケモンでもドラクエでもそうなのですが、日本で広く好まれるモンスターって、強いモンスターでもどこか可愛げがありますよね。

本作はそれがないため、あくまで個人的な感覚ではありますが、「散歩中にこいつらに会いたいかな?」と感じてしまいました。

もちろんハリー・ポッターであるということを考えると、このデザインで正解なのでしょうし、こちらが好きな人もいると思います。

【感想2】ゲーム性の高さはどう出るのか

育成要素やバトル方式などは、ポケモンGOと比べるとかなりゲーム性が高くなっています。

ポケモンGOでは、それまでのシリーズが「バトルして弱らせて捕まえる」方式であったため、ボールを投げるだけになったことに対して不満の声が上がりました。

ただし日本ではその単純さがいい方向に働き、ゲームにそこまで親しみをもっていなかった中高年層をひきつけています。バトル不足もジムバトルやレイドバトルが補いました。

本作はバトルで多少のアクション要素がありますが、これは画面に表示されたとおりになぞる程度ですので、これはそこまで障害になりません。

ただ気になるのは育成要素。職業やスキルツリーの概念は、私やこのブログに来ていただいている読者のようなゲーマーにとってはなじみ深いものですが、そうでない方にとってはどうでしょうか。

「歩く」という行為がなによりも重要になる位置ゲームにおいて、非ゲーマーの取り込みは欠かすことができません。本作であれば「ハリー・ポッターは知ってるけどゲームはあまりプレイしない」人をいかに取り込むかが鍵を握ります。

ゲーム性の強いものを好むのは若者やゲーマーですが、そういう人たちの趣向と位置ゲームがマッチするかは、難しい課題のような気がします。

【感想3】地域格差は諦めの境地

これについてはもう、地方のプレイヤーの多くは諦めているのではないでしょうか。それに我慢できない人はリタイアしますし、続ける人は不自由ながらもその中で楽しむすべを見出しています。

本作における「宿屋」「温室」などの施設は、おそらくポケモンGOのジムやポケストップがそのまま利用されるでしょう。ポケモンGOで実感している地域格差は、そのまま本作にも引き継がれます。

ファミ通さんでは地域格差について

おそらく都市部のほうが“魔法使いとしての強さを鍛えやすい地域”になることは避けられないだろう。だが魔法薬作りが協力プレイに大きく影響するということになれば、“レア素材がたくさん採れる地域”にも地の利が出てくる可能性があり、…
引用:ファミ通

とし、地域格差を解消するためのなんらかの対策が取られるのではないかと考察しています。

しかしこれには疑問もあって、たとえレア素材をたくさん集めて魔法薬が作りやすくなったところで、それを活用すべき協力プレイでは、結局人数が集まる都市部のプレイヤーの方が有利な気がします。

ポケモンGOのレイドを思い出してみても、地方では人数を集めるのに一苦労ですし、同じ状況になる可能性が高いかなあと。

そう言えばふと思い出しましたが、どこかのゲームメディアが数年前に、「田舎でポケモンGOを楽しむメリット」みたいな記事を出していました。

その中に「景色を楽しめる」というのがあったのですが、「ああ、都会の人の発想だな」と思いましたね。だって田舎の人にとっては見慣れた風景で、楽しむほどでもないのですから。

【終わりに】注目を集めることは間違いない

「ハリー・ポッター:魔法同盟」のゲーム内容を、メディア体験会の記事を元にまとめました。

限られた情報しか提供されていないため、分からないことはたくさんあります。とはいえここまでできているとなれば、リリースはそう遠くはなさそうです。

本文で紹介した内容を踏まえると、少なくとも日本においては、ポケモンGOほど広い世代を取り込むのは難しいかなと思います。それでも「ハリー・ポッター×Niantic」ということで、高い注目を集める作品になることは間違いないでしょう。

私もプレイして判断したいなとは思うものの、ポケモンGOと同時に遊べないのは大きな課題です。SIMを入れていないAndoidスマホを活用するしかないかな。でも料金がなあ…。

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【参考記事】

世界が魔法に包まれる!? 世界を動かすつぎのARタイトルとなるか? 『ハリー・ポッター:魔法同盟』世界最速メディア体験会リポート(ファミ通)

「ハリー・ポッター:魔法同盟」のゲームシステムが明らかに。おなじみのキャラクターも登場する探索やバトルを体験(4gamer)