TGS2020のオンライン開催に感じた物足りなさの理由。情報提供の場としての価値が低下した今すべきこととは

※当サイトの商品リンクには、アフィリエイトプログラムを利用しているものがあります。

9月25~27日にかけてTGS(東京ゲームショウ)が開催されました。TGSはゲームに関わるあらゆるメーカーが集まるイベントとして、日本で最大級のゲームイベントです。

今年は新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインのみでの開催となりました。やむを得ないことではあるものの、しかしこのことが、「体験」を重視していたTGSの魅力を大きく削ぐこととなりました。

特殊な年になった2020年はともかくとして、今後もTGSが存在意義を示し続けるにはどうしたらよいのでしょうか。

引用:TGS2020公式サイト

スポンサーリンク

各社が独自配信を強化で情報は「ちょい出し」レベル

冒頭で「ゲームに関わるあらゆるメーカーが集まるイベント」と紹介しましたが、日本の誇るゲームメーカー、任天堂とSIEは参加していません。

両社とも自社主導での情報提供を重視しており、動画配信サービスの充実で、ゲーマーにリアルタイムに情報を届けることができるようになったことも追い風になっています。任天堂やSIEに限らず、TGSに参加したメーカーでも、自社配信を大切にする流れができています。

そんな状況ですので、TGSでなにを発表するのかと言えば、「すでに発表したタイトルの情報をちょい出し」であったり、「ソシャゲのコラボ情報」などが中心になってきます。(SEGAは異例でしたけどね。)

今回のTGSでも、普段なら公式サイトやツイッターで告知するレベルの情報も少なくなかったように思います。TGSはもはや、ゲームの新情報にワクワクするイベントというよりは、お披露目会のような雰囲気になってきています。

各社の戦略や開発状況を考えると、必ずしも9月に目玉クラスの情報を持ってくることができるわけではありません。自社が情報を出したいタイミングで出す選択をするのは自然なことでしょう。

そのほか、ゲームメディアやまとめサイトを介することで情報が「曲がる」ことへの懸念は、任天堂の情報番組「Nintendo Direct」開始の動機として当時の岩田社長が述べていました。(2012年)

各社がタイミングを揃え、先にメディア向けに発表内容を説明し記事を作ってもらってから、一般ゲーマー向けに発表するというスタイルは、時代にそぐわないものになりつつあります。

そのような近年の雰囲気を理解しているからこそ、TGSは近年において体験重視をひとつの方針として掲げていたのですし、新型コロナウイルスでその機会を奪われたことは大きな痛手でした。

ファンを増やすことに重点を置いては?

ではこのご時世、TGSのようなイベントの存在意義はどこにあるのでしょうか。

例えば完全オンラインになったとして、興味のない情報であれば見ないという選択をすることは簡単です。近年の情報入手は、「好きな情報を好きなタイミングで」が当たり前になっています。

ゲーマーの興味も分散化が進んでいます。その対策として、一つの番組であらゆるジャンルのゲームの情報を伝える会社もありますが、あまり効果的とは言えません。

特に家庭用ゲームとスマホゲームは「混ぜるな危険」。例えば「真・三國無双」のように、「最新情報あるよ~」からの「ソシャゲです!簡単アクションです!」とかやると、従来からのファンから反発を食うわけですね。(その後の「8 Empires」発表で緩和されましたが。)

それ以外にも、SIEの情報番組「State of play」第一回において、PSVRの情報が多数を占めて強い批判を浴びたのは記憶に新しいところです。

今後のイベント開催において参考になりそうなのが、今回のTGSでSEGAが取り組んだ放送です。(セガ・アトラスTV番組表

SEGAは3日間にわたって放送を行いました。ゲーム紹介だけでも何コーナーにも分け、ゲーマーの多様なニーズへの配慮の跡が伺えます。少なくとも自社タイトルに関しては、ゲーム機とスマホゲームは明確に区別してありますね。

ゲーム紹介だけではなく、「お宝鑑定」「ショッピングチャンネル」「トークショー」などを放送しイベントを盛り上げました。

情報提供の方法に趣向を凝らし、ファンの満足度を上げる取り組み。やらかすことも多い会社だけれど、こうしてSEGAの熱いファンは生まれるのだと納得させられました。

【終わりに】より多くのゲーマーが「体験」できる機会の整備を

地理的、金銭的、時間的にイベント参加が難しい大多数のために、オンラインイベントを充実させていくのはもはや必須です。情報提供に関して言えば、間違いなくオンラインのほうが優れていますので。

そうであれば、リアルイベントはより体験を重視していくべきでしょう。従来の展示会的な性格ではなく、新作ゲームやガジェットの体験であったり、「祭りの屋台」的な展示がよいのではないでしょうか。

それと合わせて、「首都圏一極集中」のままではリアルイベントの魅力は伝わりません。もう少し小規模にしたり、他の業種との合同でもいいですから、地方開催を増やして体験の機会を増やしていくべきでしょう。

京都市の「Bit Summit」、岐阜市の「全国エンタメ祭り」みたいな取り組みがもっと増えるといいですよね。e-sportsの大会などとセットにするのもありですよね。

ゲームファンを増やすためのイベントとして、TGSを始めとしたゲームイベントは今後も価値のあるものとして存在し続けていくと思いますし、そうあってほしいと願っています。

スポンサーリンク