「Appleが任天堂を買収か?」というニュースは根拠がない噂話。ソースはまさかのサイゾー系列メディア…

2019年8月5日

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「Business Journal」が掲載した「Appleが任天堂を買収か」という記事を、Apple関連情報を多数取り扱う「iPhone Mania」が取り上げています。

アップル、任天堂を買収との観測広まる(Business Journal)

私的にはソースの時点で「根拠のないうわさ」と断定したいところですが、一応その内容を見てから否定しておきたいと思います。

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Business Journalとは

フェイクニュース

まずは記事のソースになっているBusiness Journalについて。このメディアは名前の通り、ビジネス関連の記事を中心に掲載しています。

一見するとまともなメディアに見えるかもしれませんが、なんとあのサイゾー系列のメディアなんです。

サイゾーといえば、飛ばし記事や誤報を平気で掲載するメディアとして、ネット界隈ではよく知られています。以下の記事は代表的な事例であり、週刊文春には「報道ではなく、クリックを稼ぐためのモンキービジネス」とまで断罪されています。

『ビジネスジャーナル』の貧困女子高生報道にあったこれだけの問題(週刊文春)

まずそういうメディアが書いた記事であるという点をよく理解したうえで、以下の内容を読み進めてください。

株式2%の売り出しを根拠に

Business Journalの記事で根拠としているものの一つが、「大株主である銀行が任天堂株を売り出した」事実です。

銀行が企業の株を保有する理由はいくつかありますが、大きな理由のひとつが「敵対的買収を防ぐため」です。友好的な企業が多く株を保有することで、敵対的な企業に経営権を握るレベルの株式を買い進められないようにする狙いがあります。

日本では上場企業同士がお互いの企業の株を持ち合うことで、外から投資家が入りにくい仕組みを作ってきました。

しかし記事中にも言及がある通り、東京証券取引所は各社に対し、市場の透明性を高めるために株式の持ち合いを減らすよう要求しています。任天堂の動きはそれに沿ったものであり、特段不思議な動きではありません。

買収は一般的に、発行株式の50%以上を買い占めることを指します。しかし今回売り出されたのはわずか2%程度であり、これをもって買収の根拠とするのは、あまりに薄っぺらいものがあります。

ちなみに任天堂は、手元に多くの現金を残している、つまりすぐに使えるお金の多い企業として知られています。2018年末の時点では、日本で3番目だそうです。(関連記事

そのため、買収をした際にはより多くのメリットがある企業として、たびたび名前が挙がります。ただ買収話が噂話のレベルを超えたことは、これまでに一度もありません。

投資情報誌が任天堂買収を推奨

Appleのマークっぽいリンゴ

Business Journalが根拠としているもう一つの材料が、投資情報誌「バロンズ」の記事です。この記事は「ウォールストリートジャーナル」の日本版にも転載されていますので、目にした方もいるかもしれません。

【バロンズ】アップルよ、任天堂を買収すべし(ウォールストリートジャーナル)

こちらの記事によると、アップルのCEOであるティム・クックが、「1300憶ドルの手元資金を使い切ることを目指す」と投資家向けの文書で強調したとのことです。

この金額を現在のレートに直すと約14.5兆円であり、実際に使うのであればこれはかなりのインパクトがあります。(1ドル=111.5円で計算)

バロンズの記事以外でも、ティム・クックは大型買収への意欲を隠していないと指摘されています。ロイター通信の記事によると、Appleが自社株買いを減らし、手元資金を増やしているとのことです。

ここで前述のバロンズの記事に戻りましょう。アップルが任天堂を買収という話は取材によって明らかになったものではなく、「あくまで執筆者がおすすめしているというレベル」なのです。

その理由として挙げているのが、「両社の特徴が似ている」ことと、「Appleがゲーム事業を強化するなら任天堂がいいんじゃない?」という点です。

確かにAppleにとって、任天堂と組むことができればそれは素晴らしいパートナーになるかもしれません。Googleがゲームストリーミングサービスの「STADIA」に向けて動き出しているタイミングですし、アップルがゲーム事業を強化しようと考えていたとしても、まったく不思議ではないでしょう。

Appleは新しいゲームサービス「Apple Arcade」をスタートさせますが、現在のAppStoreの枠組みを利用したものであり、そこまで大掛かりなものではありません。

そう考えた時に、最強のゲーム会社である任天堂を手に入れることは、一番手っ取り早い手段ではあります。

ただし何度も言及しているように、これは記事執筆者の希望的観測であり、具体的な動きは何もありません。そして任天堂が買収候補に挙げられたことも、一度や二度のレベルではありません。

【終わりに】噂に惑わされない心

「Appleが任天堂を買収か」というニュースを紹介しました。現時点では根拠のない噂であるということを、賢明な読者の皆さんは理解していただければと思います。

ただAppleも任天堂も大好きな私としては、わくわくする話であったことは付け加えておきます。

もうひとつ個人的な感想を言えば、任天堂よりソニーのほうが、Appleにとっては相乗効果がありそうだなと思います。高いけど。