モンストの苦戦は長期運営タイトルのすべてが陥る課題。変化するスマホゲーム市場への対応も急務

2019年7月29日

5月10日に開催されたミクシィの決算説明会において、同社の業績をけん引するスマホアプリ「モンスターストライク」(モンスト)の売り上げが低迷している状況が鮮明になりました。

ライトユーザーの消費意欲が落ちていると説明されているようですが、それは当たり前のことと言えます。そしてそれは、モンストに限った問題ではありません。

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マルチプレイ・YouTuberで躍進

モンストアイキャッチ

モンストと言えば、スマホゲームにマルチプレイを定着させた功労者とでも言うべき存在です。

マルチプレイはより多くの報酬を得ることができるため、特に学生を中心に周りの友人を誘い、プレイ人口をどんどん増やしていきました。

それに加え、マルチプレイには「お互いのキャラクターを見せ合う」場でもあります。友人の持っている強力なキャラクターを見ることでそれが欲しくなり、ガチャ意欲が喚起されるわけですね。

今では当たり前になっている、YouTuberを巧みに利用した戦略もはまりました。そうした要因に支えられたモンストは、当時売り上げランキングを独走していた「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)を抜くことになります。

新要素の追加は必要だけれど

とはいえゲームを長持ちさせるには、常に新しい要素を追加していく必要があります。それはゲームシステムのことでもありますし、ガチャを引いてもらうためにこれまでにないステージ、ギミック、新たな能力を追加していくことでもあります。

ゲームが複雑になればなるほど、新規プレイヤーにとっては敷居の高いものとなってしまいます。もともとはカジュアルさを売りにしていたモンストですが、カジュアルなゲームではなくなってしまっているのが現状です。

もっともこれは、モンストだけの問題ではありません。既存ユーザーを満足させつつ(具体的に言えば課金させつつ)、新規ユーザーを取り込むのは、どんなゲームにとっても簡単ではないでしょう。

ミクシィ側もこの問題点は把握しており、「仲間とわいわい共闘する興奮」という価値に原点回帰すべく、さまざまな施策を繰り出していく予定としています。

モンストに続く柱も育たず

ミクシィがモンストに続く柱を育てられていない点は、散々指摘されていますが解決されないままでいます。「マーベルツムツム」のような強力IPを活用したアプリも、うまくいきませんでした。柱どころか支柱すらも育っていない印象があります。

新規アプリの開発もうまくいっていないようです。モンスト派生ゲームでは、1本をリリース延期、1本は開発を中止しています。

また新規IPを活用した新作ゲームのリリース延期も明らかにされています。具体名は不明ですが、ニンテンドー3DSでの発売が発表されている「モバイルボール」のことと思われます。

ミクシィはスポーツ事業の強化も図っていますが、現状ではモンストが業績を大きくする事実は誰もが理解していることでしょう。決算説明会資料における、「モンスターストライク」という言葉の多さがそれを物語ります。

スマホゲームの変化についていけるか

そんな状況にあるモンストですが、売り上げランキングでは「FGO」「パズドラ」などと並んでトップの常連となっています。

これだけ勢いの落ちたモンストがまだトップにいられるということは、新しいタイトルが大きなヒットを生み出せていない現実をはっきりと示しています。

とはいえスマホゲーム市場全体でみると、売り上げが落ちているわけでもありませんので、スマホユーザーがそれだけさまざまなアプリを楽しむようになってきたということでしょう。

そうなるとやはり、モンスト一本のミクシィは厳しいですよね。ガンホーもパズドラ一本と言われてきましたが、最近は子会社Gravityの「ラグナロクM」が海外でヒットしているようです。

若者には「荒野行動」「PUBG」などのバトルロイヤルゲーム、中高年に「ポケモンGO」が受けるなど、ガチャに依存しないゲームも人気を集める状況になっています。

海外勢の進出も著しい中で、ミクシィの次の一手が注目されます。

決算説明会資料(ミクシィ)

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